歌姫

たい焼き鑑賞の後は、映画鑑賞。Bunkamura ル・シネマで、映画『バックコーラスの歌姫たち』(モーガン・ネヴィル監督)を観ました。原題『Twenty Feet From Stardom』からもわかるように、センターマイクの20フィート(約6メートル)後方でスターをサポートするバックシンガーたちにスポットライトを当てた作品です。紹介されるバックシンガーの代表は、Darlene Love、Merry Clayton、Lisa Fischer、Táta Vega、Claudia Lennear、Judith Hill。そして、彼女たちが参加した様々な楽曲の映像の合間にBruce Springsteen、Mick Jagger、Sting、Stevie Wonderらが彼女たちへの敬意や音楽業界の厳しさ等を真摯に、あるいはユーモアを交えて語ります。

コーラスシンガーとしての彼女たちは、美しくブレンドされた声でスターの背後に印象的なメロディラインを引くことを目指しますが、一方でその20フィートの距離を乗り越えようとする者もまたいます。しかし、騙されてプロデューサーに声だけ利用され他人名義となったヒット曲に涙したり(Darlene Love)、ソロ作品がヒットに結びつかず夢破れたり(Merry Clayton他)、あと一歩のところで足踏みしながらチャンスを待ち続けたり(Judith Hill)。そこに、Bruce Springsteenの「数歩の距離だけど難しい。歌唱力の問題じゃない」やStingの「この業界は公平な勝負で決まるわけじゃないんだ」というコメントが楔を打ち込んできます。それでもこの映画は、彼女たちの歌うことに対する愛情や自分の才能に賭ける情熱を描いて、ポジティヴなメッセージで幕を閉じます。

先日観た『ふたりのアトリエ』がヨーロッパ映画らしい不条理な結末だったのに比べれば、こちらはいかにもアメリカン。これもまた人生……なのでしょう。

なお、現代ポピュラーミュージックに大きな貢献をしてきた彼女たちの多くが、教会でのゴスペル歌唱をその原体験としていることを特記しておきます。