歌心

この2カ月ほど満足に身体を動かすことができていませんでしたが、ここにきてようやく年季開けが見えてきたこともあり、自分の誕生日直後の日曜日ということにもかこつけて、伊豆は土肥温泉に金目鯛を堪能しに行きました。

うまし・うるわし。

JR東海による奈良観光キャンペーンのキャッチコピーみたいですが、ちなみにこのフレーズの元ネタは(たぶん)次の二つの歌です。

大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば 国原は 煙立つ立つ 海原は 鷗立つ立つ うまし国そ 蜻蛉島あきづしま 大和の国は〔万葉集・舒明天皇〕

倭は 国の真秀ろば たたなづく 青垣 山籠れる 倭し麗し〔古事記・倭建命〕

緑の山々に囲まれ稲穂揺れる奈良盆地の情景を最大級に賛美するこれらの歌には、千数百年の時を超えて読み人の心情が伝わる美しさがあります。

そこで、伊豆の海の恵みだって(たぶん)負けてはいないぞと金目鯛を賛美する歌をひねり出そうとしてみたのですが……。

うまし魚そ 金目鯛 麗し

悲しいかな、自分の歌心のなさを再確認するだけに終わりました。