神雫

10月下旬の恒例行事となりつつある「甲州市勝沼ぶどう郷マラソン」。昨年に引き続いて今年も前日に勝沼のワイナリーを訪れることにしました。昨年はメルシャンでしたが、今回は知る人ぞ知る中央葡萄酒さん。「グレイスワイン」ブランドで良質のワインを造り続けている醸造家です。

こちらが中央葡萄酒のワインサロン。蔦に覆われた外観がいい雰囲気。

二階に上がると、いかにもサロンといった落ち着いた雰囲気の中で、ワインやグラスなどの各種商品が展示されています。人気漫画『神の雫』の中でも、この中央葡萄酒のワインが紹介されていました。

さて、いよいよワイナリーツアーへ出発。まずは車で10分ほどの鳥居平にある農場へ。ここでいろいろな話を聞かせていただいたのですが、いかに真剣にぶどうと向き合っているかがひしひしと伝わるような解説でした。この鳥居平の場所は土が痩せ、日照時間が長く、かつ風が常に吹いて日中と夜との寒暖の差が大きく、これらの条件がぶどう造りに最も適しているのだそうです。そして、ご覧のような垣根式栽培で75cm〜1m間隔に植えられたぶどうの木は、一本10房までに収穫を制限し、摘葉、摘房、さらには摘粒まで行って丹念に仕上げるのだとか。

こちらは甲州種の畑。樹勢が強く暴れん坊の甲州は棚づくりで、そのかわり一文字短梢という二方向に伸ばす作り方で収量を減らし、品質を高めているのだとか。

醸造所に戻って、醸造工程の解説。中央葡萄酒では、酸味を活かしたボディのあるワインではなく、あくまでクリーンなワインづくりを目指しているのだそうで、そのために工程の途中でいかに酸化を防ぐかに最大限の注意が払われています。また、本来の中央葡萄酒の指向とは異なるものの、樽を使ったワインも生産されていました。写っているのは、解説してくれた伊東さん。

ここでコポコポと空気が湧き上がってくる様子を見ると、ワインは本当に生き物なのだということがわかります。さて、お待ちかねのテイスティングタイム。この日いただいたのは、次の8本です。

  1. グレイス甲州 菱山畑 2008(白・辛口)
  2. キュヴェ三澤 甲州 プライベートリザーブ 2007(白・辛口)
  3. グリド甲州 2008(白・やや辛口)
  4. グレイス ケルナー 2006(白・辛口)
  5. グレイス 甲斐ノワール 2008(赤・ミディアムボディ)
  6. グレイス カベルネ・ソーヴィニヨン 2006(赤・ミディアムボディ)
  7. キュヴェ三澤 赤 2006(赤・フルボディ)
  8. グレイス ケルナー レイトハーベスト 2008(白・やや甘口)

それぞれ解説を受けながら味わっていくのですが、このワインはしょう油やダシと喧嘩しない、秋刀魚の塩焼きと相性抜群!などと身振り手振りを交えつついかに日本食と合うかが力説されていて、聞いているだけでお腹が空いてきてしまいます。他のお客も慣れたものでさかんに質問をぶつけていましたが、さすがに「これは牛蒡の香りだ!」「そうそう、これは牛蒡とも合いますよ」などと言われると目を白黒させるしかありません。一通りのテイスティングが終わった後、私が購入したのは1番と8番。甘い8番をアペリティフにして、きりっとしたドライな味わいの1番で刺身をいただいたら最高でしょう。

すっかりお腹をすかせてしまったので、お昼はバーベキュー。もちろん赤ワインつき。その後、石和温泉に移動して投宿し、おそろしく熱い温泉に入ってゆでだこになってから、正統派の旅館料理。

ご覧の通りのゴージャスな夕食ですが、さすがにこれにワインを合わせるのは難しく、おとなしくビールで喉を潤しました。メインはもちろん、山梨名物「ほうとう」です。苦しいくらいに満腹になって、これは翌日はとても走れないのではないか?と一抹の不安を抱きつつ、さっさと就寝。畳の上の布団で眠るのはかなり久しぶりですが、完全に熟睡しました。