菊酒

今年最初のひやおろしを、新橋「一由」にて。重陽の節句はとうに過ぎていますが、菊花「阿房宮」を浮かべて菊酒にして。

阿房宮は秦の始皇帝のとき、帝都・咸陽の南、渭水の対岸に造営された宮殿ですが、この少々剣呑な名を冠した食用菊「阿房宮」は東北・南部地方の特産だそうです。苦味がなく菊花の芳香と共に甘みがあることが特徴で、生食で食べる事もありますが、主には蒸してから乾燥し干し菊にして出荷されるとのこと。おひたしなどにするときはさっと湯がいて戻すのですが、このように干し菊に冷酒を注げば手軽に菊酒のできあがりです。ただ、浸して一晩おくと菊の香りがしっかり酒に移るのですが、お手軽バージョンではもっぱら見た目の雰囲気を楽しむにとどまります。もっともひやおろしの柔らかい味わいをそのまま味わうには、この方が良いのかも。

諸般の事情から当面遠出がかなわない中、このように都心にいながらにして季節の移ろいを感じることができるのは嬉しいこと。大切にしたい「和」の喜びです。