越刃

映画『ビヨンド・ザ・エッジ』を渋谷の映画館ヒューマントラストシネマ渋谷で観てきました。

劇場入口には現代のダウンスーツが置かれていて、これを着用して写真撮影しFacebookやTwitterに投稿しよう!という企画でしたが、時間の都合もあってパス。

映画は、1953年の英国隊によるエベレスト登山を、その開始から登頂まで淡々と追ったもの。全編ドラマ仕立てを予想していたらそうではなくて、豊富に残されていた当時のカラー映像と現代のニュージーランド及びエベレストでのロケを組み合わせたドキュメンタリーでした。

再現ドラマ部分には役者が登場するものの台詞はなく、ストーリーはすべて当時の録音や現存する関係者(ヒラリー卿の子息など)のナレーションで進行します。なので、いわゆる「ファイト〜!」「いっぱーつ!」的なドラマティックな盛り上がりを期待すると思い切り肩透かしをくらうのですが、たとえば「山は征服するのではない、登頂の機会を与えてもらうのだ。戦う相手は、自分の弱さだ」(大意)といった先人の言葉には有無を言わせない説得力がありますし、最後の最後に出てくるエベレストの、誰の足にも踏まれたことのない清浄無垢な山頂からのパノラマ風景は、十分に感動的でした。

現代ではこのように、商業公募隊の隆盛によってヒラリーステップでは2時間待ちの大渋滞が起き、山頂にはカラフルな残置物が積み重なっています(もしかすると、島崎三歩の遺体も?)。こうしたけばけばしい赤や黄色とは無縁の、雪の白と空の青だけに染まっていたころのエベレストを、映画は見事に再現していました。