人生

2005/10/24

最近ゲットしたCDを2種類ご紹介。

まずは、Carl Palmerの『Working Live – Volume1』と『Working Live – Volume2』。ご存知Emerson, Lake & PalmerのドラマーCarl Palmerがギタートリオのバンド構成(ギター:Shaun Baxter / ベース:Dave Marks)でEmerson, Lake & Palmer時代の曲をインストで演奏するというもので、2001年録音の『Volume1』の方は「The Enemy God Dances with the Black Spirits」や「L.A.Nights」「Tank」「Toccata」などもともとPalmer色の強い曲が中心、2003年録音の『Volume2』は「Hoedown」「Trilogy」「Tarkus」「Fanfare」などEmerson色の濃い充実した楽曲に挑戦、といった特徴があります。それぞれに聴きどころがあり、「The Enemy God」「L.A.Nights」の実にスリリングなフレーズ展開、「Tank」でのパワフルでしかも細かいスネアワーク、「Hoedown」イントロのベースを使ったポルタメントMoogの再現、「Tarkus」の有名な5拍子テーマの強力なスピード感など、いずれも特筆ものです。

しかし、何よりも「嗚呼、Carl!あなたはいくつになってもCarlなんだなぁ」とうれしくも悲しくもなるのがCarlのリズム。音程の不確かなボーカリストとリズムキープの苦手なドラマーのどちらが始末に負えないかはケースバイケースでしょうが、どちらもあまり一緒に仕事をしたくない相手であることには変わりないでしょう。ところがCarl Palmerだけ(?)は、まるで小節に詰め込まれる音符の数によってテンポが異なるかのような演奏をしてしまうにもかかわらず、根強いファンの支持(または「諦め」)を得ているのですから不思議です。

もう一つは、The Bulgarian Women’s Choir – Angeliteの『Voices of Life』。ブルガリアの民族衣裳を着たお姉さん(及び「元」お姉さん)たちが、それはそれは美しい女性合唱を聴かせてくれるもので、基本的には伴奏なし。一種独特の音階と装飾的なビブラートが印象的な、2000年の作品。

で、なぜこれを買ったかと言えば、答は以下のクレジットにあります。

Compilation Remixed and Produced by Eddie Jobson

あのU.K.で華麗なヴァイオリンとキーボードを聴かせていた元ロックミュージシャンのEddie Jobsonと、もろにトラディショナル(しかもブルガリア!)なBulgarian Women’s Choirの接点がどこにあったのかさっぱりわかりませんが、彼は全12曲のこのアルバムにコンポーザーとしても伴奏付きの3曲を提供しています。そして、彼の曲「Nov Den」ではPercussionにBill Brufordが、「Utopia」ではStickにTony Levinがクレジットされているほか、「Utopia」「Zavesata Pada」の2曲ではEddieがElectric Violinを演奏しています。一説によると、これがU.K.の再生企画で録ったテイクの流用らしい(真偽のほどはわかりません)ということなのですが、といってもKing CrimsonやU.K.のようなロックテイストは微塵もなく、いずれもムード重視の温和なフレーズの繰り返しの上に女性コーラスを乗せており、クレジットがなければ彼らの演奏であるとは誰も気づかないでしょう。これはこれで美しい作品ですが、復活U.K.の夢の名残りを追うという文脈で聴くと落胆するかもしれません。ま、もし「プログレミュージシャンが演奏するノンプログレ作品」みたいなDJ企画があったら、そのあまりといえばあまりなかけ離れぶりが貴重なマテリアルになるとは思いますが。

2人のプログレミュージシャンの仕事を眺めて、人生いろいろ、と思わされた今日この頃でした。