普通

2019/01/24

神保町のアースプラザで、ICI石井スポーツ登山学校の講座「普通女子が行ってきました! ヨーロッパアルプスツアー3カ月の旅の報告会」に参加。この手の講座には基本的に興味がない方(しかも自分は男だし)なのですが、この日ばかりはそういうことを言ってはいられません。それというのも、この「普通女子」なるスピーカーが、昨年4月のエベレスト・ベースキャンプ・トレッキングでご一緒したひろみさんだからです。

会場の入り口近くには、呑兵衛のひろみさんに相応しくセルフサービスで飲み放題のワインが置かれていましたが、そのエチケットに描かれているのはひろみさんの大好きなマッターホルン(Mont Cervin)。山の名前とワイン(Vin)を引っ掛けてあるのが洒落ています。

講座の司会は、石井スポーツ登山学校の校長にしてピオレドール受賞者でもある天野和明氏。その天野氏と事前の打合せをしているひろみさんはいつにもまして緊張している様子でしたが、定刻になって天野氏が進行を始めると、その巧みなサポートのおかげか、ひろみさんは今度はいつになく落ち着いた様子でトークを展開しました。

まずはヨーロッパへ旅立つまでのひろみさん前史の説明があり、「闇の10代」、パニック障害の克服、イタリア留学、グリーンパトロールの友人に影響されて登った丹沢と富士山、初めての雪山がなぜかビーコン操作講習、そしてイモトに触発されてのマッターホルン登頂の決意、といったあたりが紹介された後に、スライドショー形式(一部動画あり)で旅の様子が説明されました。

ブライトホルン、ヘルンリ稜からのマッターホルン、アイガー、モンテローザ、モン・ブラン、ダン・デュ・ジェアン、そしてイタリア側のリヨン稜から再びマッターホルン。8月から11月まで3カ月をかけて縦横無尽に登った山々と海沿いの岩壁でのクライミングの様子の合間には、ヨーロッパガイドの速さや登山のための装備、それぞれの山の難易度といった実践的な情報が織り込まれ、これからヨーロッパアルプスを目指そうとする参加者にはとても有益な内容になっていました。

しかし、それにしても気になるのはお金の話。もちろんそこも抜かりはなく、山ごとに現地通貨でいくらのガイド料が必要だったかが示された後に、旅のトータルで150万円位だったと明かされました。一見高いように見えますが、たとえば「モン・ブラン登頂ツアー」に参加すると10日間程度で80万円ほどが相場になっていることを考えれば、むしろ破格の安さです。しかも、天候に恵まれてほとんどの山をワンプッシュで登っているのも、長期滞在であるがゆえのプランニングの自由度の高さが寄与しているはず。問題は金額ではなく、それだけの時間を休暇に当てられる職場というのはなんなんだ(そもそも働いているのか)という点にありますが、そこは謎のままに終わりました。

ひろみさんの今後の抱負は、マッターホルンの残りの二つの稜を登ること、そして最後にマッターホルン北壁。そして会場に集まった人たちに対して、ヨーロッパの山は決して夢ではないこと、山頂で得られる達成感が大きいこと、気軽に挑戦してほしいことを伝えて、ひろみさんの報告は終了しました。

終わったところでひろみさんに声をかけ、熱くハグ。とてもよい報告会でしたよ。ヨーロッパの山はもちろんステキだけど、今度はどこか日本の山でご一緒しましょう。

なお余談ですが、この報告会に参加するにあたり、iPad 6th generationにメモソフト「Notability」を積み、Apple Pencilでメモをとってみました。ペン先がコツコツと当たる音を緩和するちょっとした工夫が必要ですが、その点を除けばなかなかいい感じ。

おすすめです。