維持

2020/05/11

iTunes Matchの1年契約を更新するかどうかで少々悩んだこの1カ月、検討の末にやはり契約を維持することにしました。

Appleのサイトの説明によれば、iTunes MatchはCDなどほかの音源から読み込んだ曲でも、自分で集めた曲をすべて、どのデバイスからでも聴くことができるサービスということになっています。ここでいうほかの音源から読み込んだというところがミソで、Apple Music サブスクリプションサービスのカタログに入っていない曲でもMacに取り込めばiCloudを経由してiPhoneなどで聴くことが可能ということになります。

もちろん、iTunes Matchのサービス期間が終了してもあらかじめローカルにダウンロードしておいた楽曲はなくならないので、これまでにApple Music以外から取り込んだ楽曲(典型的にはブートレグなど)を各デバイスでダウンロードしておけば問題はないのですが、せっかくクラウドサービスがあってデバイス間の同期がとれるのに個々のローカルをばらばらに重くするというのはスマートではありません。とは言うものの、スマートではないからというだけの理由でお金を払うにしては、iTunes Matchの年間3,980円という価格設定は微妙です。

逆に言えば、自分が聴いてきた楽曲の中で聴く頻度の高いものがどれくらいApple Music サブスクリプションに含まれて「いない」かがiTunes Match継続の要否を決めるということになるので、試みに最近聴いていたAsiaとKing Crimsonを調べてみました。

Asiaの人気アルバムと言えばもちろん産業ロックの金字塔『Asia』(1982年)となるのですが、個人的なフェイバリットは実はJohn Payne期の『Aura』(2001年)です。このアルバムはGeoff DownesとJohn Payneの2人を中心に楽曲毎にゲストミュージシャンを迎えて制作されたプロジェクト的な作品ですが、このゲストの顔ぶれが凄く、ギターではメインのGuthrie Govanの他にSteve Howe(Yes)やIan Crichton(Saga)、Elliott Randall、Pat Thrall。ドラムはMichael Sturgisが本線かと思いきやVinnie Colaiutaが三曲、Simon Phillipsも二曲、Chris Sladeも一曲。おまけにベースにTony Levinも一曲参加しているといった豪華布陣で、さらに作曲チームにWAX(Andrew Gold + Graham Gouldman)も加わった結果、ロックのエモーションを備えた珠玉のAORアルバムという稀有な作品に仕上がっています。ところが、これだけ熱っぽく紹介したこの作品がApple Musicではリストに入っていません。かつてはレア盤扱いで入手するためにけっこうな金額をはたいたEddie Jobsonの『The Green Album』(1983年)でさえもApple Musicでストリーミング配信されているというのに(怒)。

Apple Musicは制作サイドから見れば収益分配機構ですから、ミュージシャン側のマネジメントが機能していなければその作品を取り扱うことができないというのはわかります。しかし、2006年のオリジナルメンバー(John Wetton / Steve Howe / Geoff Downes / Carl Palmer)による再結成後のアルバムでは最も出来が良い『Omega』(2010年)すらもカタログに載っていないというのはどういうことなのか?

そして決定打はKing Crimsonです。

Eddie Jobsonもなかなかの商売人ですが、さらに輪を掛けて商魂たくましいRobert FrippもAppleの軍門に降ってKing Crimsonの過去の作品すべてをApple Musicからストリーミング配信を開始することにしたと報じられたのは昨年のこと。しかしこれが日本ではまだ実現しておらず、検索して出てくるのは訳のわからないものばかりです。

Apple Music

なんだこりゃ?

iTunes Store

iTunes Storeでアルバム販売はされているのですが、せっかくサブスクリプション契約をしているのに別途アルバムを購入することは考えられません。iTunes Storeはいずれサービスを終了し、その時点ではKing CrimsonもApple Musicのカタログに載ることと思いますが、少なくともそれまでの間はiTunes Matchを維持する必要ありとの結論に達した次第です。