水滴

2002/11/01

Peter Gabrielの最新作『UP』が最近のお気に入り。

大ヒットした『SO』の続編『US』以来実に10年ぶりのオリジナル・スタジオ作で、ピーガブ作品には欠かせないTony Levin(B)、David Rhodes(G)、Manu Katche(Ds)に多くのアディショナル・ミュージシャンを加えて完成させた本作は、モノクロの印象的な写真がちりばめられたインナーがぴったりくるダークな色調の曲が中心。暴力的なリズムが恐怖感を増幅する「Darkness」、サスペンスタッチのギターのリフが死を歌う「No Way Out」、底知れない喪失感をつぶやく「I Grieve」などなど。それらに混じってダンサブルだけど暗い「Growing Up」、架空のバラエティ番組でTVを皮肉る「The Barry Williams Show」、Nusrat Fateh Ali Khan(どこの国の人でしょう?)の驚異的なボーカルが加わる「Signal To Noise」が異彩を放っています。

……しかし、こんなダークな曲ばかりで果たしてライブは実行可能なのでしょうか?

ちなみに、Peter Gabrielのサイトで本作に収録された「More Than This」のスタジオライブをQuickTime Movieで見ることができますが、Genesis時代から彼を知っている目で見ると、Peter Gabrielもさすがに歳をとったな〜という感じ。それにしてもこの曲の出だしの摩訶不思議なシンセのフレーズ上でどうやったらリズムをとりながら歌えるのでしょうか。私ではPAからガイドリズムを流してもらわなければ絶対入っていけないでしょう(実際そうしているのかもしれませんが)。

また、ジャケットの写真はぼんやりしたモノクロの模様の前に大きな水滴が五つ飛んでいるものですが、背景の模様が実は人の顔だったことには、うかつにもこの記事のためにスキャンするまで気付きませんでした。改めて見直してみると、五つの水滴にもバックの人の姿が倒映しています。