塾長の備忘録

塾長の備忘録

私=juqchoの日常の雑感を不定期に綴る、個人的な備忘録。

産業

2003/05/30

早めに会社を出て、下北沢のバー「Revolver」へ。今日はDJイベント『産業ナイト』の日……のはずなのですが、いつもなら人がごったがえしていて入ることをためらうほどなのに、今日は私が2人目の客で店の中は閑散としており、「これは、日か会場のどちらかを間違えたかな?」とドキドキしながらいつものスコッチを注文。やがてなにげに最初のDJがブースに立ち、さらにしばらくして久しぶりのfruupp(DJ名Kyon)さんの初夏めいた笑顔が現れてほっとしました。

ところで、『産業ナイト』とはいうまでもなく「産業ロック」とカテゴライズされる曲を中心としたDJイベントで、メジャーなところではAsiaやStyxなどもかかって懐かしかったのですが、肝心の「産業ロック」の定義について主催者側からあらかじめ鮮明に提示されているわけではありません。

一般的に使われている「産業ロック」という言葉の定義をちょっと乱暴にまとめてみると、おおむね1980年代に入って次々に発表されたポップでキャッチーなシングルヒット狙いのロックで、ミュージシャンの一定水準以上の技量、楽器(特にシンセサイザー)の品質と録音技術の飛躍的向上の成果、MTVなどによるメディアミックスを活用した周到なプロモーション等を結合させた「総力戦」としての音楽、ということができるでしょう。私が初めてこの言葉を目にしたのは渋谷陽一の「ロッキング・オン」だったと思いますが、そこには、「産業ロック」が必然的に有するマーケット・インの発想の下にミュージシャンの音楽性よりも制作サイドにおけるマーケティングが優先されることへの、批評家たちによるネガティブな意味合いがこめられていました。

そういう意味では、この夜Rushの「Tom Sawyer」と「The Big Money」がとりあげられたことに20年来のRushファンを自認している私としては「ちょっと待った!」となるはずなのですが、しかし『産業ナイト』のDJの皆さんは「売れる音楽には、売れるだけの理由がある」という一種爽快なまでのポジティブなとらえ方のもとに、1980年代前半頃に自分たちが好んで聴いた欧米系の楽曲(ロックの生身性とコマーシャリズムとを両立させた音楽)を繰り出してきていた様子。そんなわけで、これだけ堂々と「でもやっぱり好きでしょう?」と迫られてしまえば、「実はその通りです」とシャッポを脱ぐしかありません。