椎名

2003/12/01

書店でふと目に止まった椎名誠の『秘密のミャンマー』を読みました。

椎名誠をはじめとするおかしな日本人4人組が、日本語ぺらぺらのこれもちょっとおかしなミャンマー人ガイドとともにミャンマー国内を旅するというもので、ヤンゴン、バゴー、チャイティーヨー、バガン、マンダレー、アマラプラ、インレー湖と、要するに私にとっても実に懐かしいところばかりを歩いて回っています。椎名誠がそこで何を見て何を感じていたのかについてはこの本を読んでみてほしいのですが、意外に(?)素直な感性の人なのだなというのが私の感想。ただ、敬虔な仏教徒の国であり、軍事政権の国でもあり、「世界最貧国」(←と繰り返し説明されるのが私にはちょっと納得いきません)でありながら豊かな文化と伝統に彩られてもいるミャンマーの不思議に踏み込みきれていないのは著者自身もあとがきに書いている通りで、だから私は「秘密のミャンマー」より「不思議のミャンマー」の方がしっくりくるように思います。

椎名誠のこの旅は世界貿易センターに飛行機が飛び込んだ少し後のもので、それから既に2年がたった今、ミャンマーでは5月のアウン・サン・スー・チー女史拘束後、米国による経済制裁の強化や、日本の新規ODA凍結といった軍事政権への制裁の影響もあって観光客が激減し、バガン遺跡の保存資金の確保も危ぶまれているのだそうです。私の2度のミャンマー行でガイドをつとめてくれたチョチョルィンさんとは今もほぼ毎月手紙などのやりとりがあるのですが、やはり日本人観光客がずいぶん減ってしまっているとのこと。私も遠からぬうちにまたミャンマーへ行きたいと願っていますが、私の渡航記録サイトのミャンマー旅行の記録をご覧になって関心をお持ちになった方がいれば、ぜひミャンマーを訪問してみて下さい。