進歩

2006/01/23

夜9時から2時間、恵比寿の「J&S」でボルダリングの練習……の合間の常連同士の会話で、NHKの『氷壁』の話から最近週刊モーニングに連載されている山漫画『イカロスの山』への批評まで発展。塀内夏子さんの処女作『おれたちの頂』はけっこう好きだったのですが、自分がクライミングをやるようになった現在の目で見ると、いかんせん『イカロスの山』でのさまざまな描写が明らかにクライミングのシステムに対する理解不足を露呈していてがっかりしてしまいます。総帥も「いらいらしちゃう、けど読んでしまう」と言っていました。

「それにひきかえ」と衆議一致したのが、もう終わってしまいましたが尾瀬あきら氏の『オンサイト!』の素晴らしさ。

こちらはフリークライミングの話ですが、もともと落ち着いた丹念な画風である上にクライミング独特のムーブや使用されているギアの描写がリアルだし、ストーリーも地道で無理な飛躍がなく、ある意味起伏は少ないのについ引き込まれてしまう語り口が、さすが尾瀬あきら。ちょうど「J&S」に『オンサイト!』の1巻が置いてあって、休憩の合間にと読み始めた常連さんが「これは面白い」と止まらなくなって、練習そっちのけでそのまま1冊読み通してしまったほどです。

おっとおしゃべりばかりではいけない、練習もしなきゃ。ということで前回3手しか手が出なかったハング系の課題を一つクリアし、離陸時にダイナミックに手を出していたのはスタティックに1手進めるようにしました。しかし、これを進歩と呼ぶなら確かに進歩なのですが……これでは主人公の麻耶と比べてあまりにも歩みが遅すぎるようです。