迷走

2006/04/06

池田裕子さんが4月3日に亡くなったということを、今日になって知りました。

池田裕子さんといってもわからない人も少なくないかもしれません。私が社会人になりたてくらいの頃、NHKの朝のニュース番組でとても爽やかな笑顔を見せてくれていた津田塾出身の才媛キャスターで、私は一目で彼女のファンになりました。その後もどんどん人気が高まったのですが、不倫問題を起こして離婚したり、フリーアナウンサーから女優「桐生ゆう子」へと転進を図ったりと、ファンの目から見れば悲しい「迷走」を重ねていくうちに縁も遠くなってしまいます。

ところが、2000年にがんの告知を受けた後、彼女は「絵門ゆう子」というペンネームで闘病経験を元に執筆や講演活動で再び表舞台に出るようになっていました。しばらく前にたまたま何かの記事で見た池田裕子=絵門ゆう子さんは昔と変わらない明るい笑顔でしたが、実際には抗がん剤の影響で失った髪をかつらでカバーし、胸には胸水が溜っている状態だったようです。それも、がんの告知を受けてから西洋医学を拒否して怪しげな民間医療に頼りいたずらに時を失ったために、がんが全身に転移したせいだそう。

それでも、最後の数年は執筆・朗読・カウンセリング等と充実した日々を過ごせたらしいことが、救いです。たぶん御本人は、振り返ってみて迷走などではなかったと思っておられたことでしょうし、そもそも人の一生の紆余曲折は他人がとやかく言うべきことではありません。

享年49。心からご冥福を祈ります。