迂闊

2006/04/23

先日新月のライブを聴きに行った後、お酒を呑みながらの会話の中で、Chris Squireの『Fish Out of Water』がCD化されていることを知り、驚きました。これはYesのベーシストChris Squireのソロ作品で、ずいぶん昔にLPで購入して、そのかっこいいリードベース(!)と豪華なミュージシャンたち(Bill Bruford, Patrick Moraz, Mel Collins, Jimmy Hastings他)の気合の入ったバックアップに感激したものですが、LPを再生できる環境がもはやないことから、2年ほど前にfruuppさんにあげてしまって、もう二度と聴くことはないだろうと思っていたのです。なんたる迂闊!

というわけで早速Amazon.co.jpで購入しました。1曲目「Hold Out Your Hand」、派手なパイプオルガンの響きに続いて高らかな選手宣誓のように入って来るブリブリベース、そして切れ味よいドラムのリズム。Chrisの高音のボーカルもgood。この曲のプロモビデオでの、なぜか振袖を着てリッケンバッカーをがんがん鳴らしながら歌うChrisの細い姿(今は見る影もなく巨大化してしまいましたが)は、今でも脳裏に焼き付いています。あと、4曲目の「Lucky Seven」(曲名の通り7拍子)なんかもジャジーでいいですね。なお、FishというのはChrisのあだ名(長風呂だからとか?)ですから、タイトルの「水から離れた魚」が意味するところは、Yesから一歩離れて自由に自分の音楽を作った、ということなのでしょう。しかし、そういうわりには当時、Yesのメンバーたちのソロの中で最もYesと音楽性が近いと評されていて、YesにおけるChrisの役割の重要性を再認識したものです。

音楽ついでで、最近購入したDVDを二つご紹介。PSEマークについての記事でrobin☆さんとSagaについて会話を交わしたことから、SagaのDVDを買うことにしました。ところがまともな(?)ライブDVDはリージョン1ばかりで再生できないため、プロモ映像・ライブ(しかも数曲はブート映像)・インタビューのごった煮のような『Silhouette』を買ったのですが……まぁ楽しめました。

私がSagaをリアルタイムで聴いていた頃のキーボードはMemorymoogやMoog Source、それにPPG Wave2.2/2.3がコの字に並んでいたのですが、プロモ映像では古い頃のセッティングが映し出されていて、上手にYAMAHAの名機CS-80、下手にPolymoogとMinimoog、奥にはFender Rhodesともう1台モノシンセ。この組み合せであのカラフルな曲を演奏できていたのか〜という感じ。ところが最新映像ではKORG一辺倒でRick Wakemanみたいにスタンド5本×各2台の合計10台をぐるりと巡らせた物量作戦に変わっていて、ちょっと感心しません。プログレキーボードは、機材のチョイスや並べ方にも美学が欲しいものです。

そんな中で一番のヒットは、ブートライブの「It’s Time」の映像でした。これはかっこいい!画質はブートでしかないのですが、それでもJim GilmourのキラキラしたキーボードやMichael Sadlerの美声が堪能できます。ちなみにMichael Sadlerがベースギターを弾きながら歌っているのも異色(本来のベーシストJim Crichtonはここではセカンドキーボードに専念しています)。

また、ご存知のように、Amazonで買うと「このDVDを買った人はこんなDVDも買っています」と別のDVDを勧めてくれて、その罠にかかるとAmazonに骨の髄までしゃぶられることになるのですが、今回勧められたのはStyxの1996年の『Return To Paradise』でした。

これもタイトルからわかる通り、大ヒット作となった1981年のコンセプトアルバム『Paradise Theater』をメインにしたライブで、フロントの3人(Denis De Young, James Young, Tommy Shaw)が交互にリードボーカルをとりながら、引き締まった見事な演奏を聴かせてくれます。これはよい買い物でした。ドモアリガトAmazon.co.jp。