都笑

2006/09/13

6月に続いて、落語会「都笑亭」。 出だしの浮草亭ぬう坊さんは「天狗裁き」。いやー、正直かなりアガってましたね。途中で空中分解するんじゃないかとハラハラドキドキしたが、しっかり最後に着地したのは立派。その次の久寿里菊之助さんの「涙をこらえてカラオケを・パート2」(桂三枝作)は、カラオケ好きの故人のために「カラオケ葬」というのをやる噺で、これはもう自家薬籠中という感じ。葬儀社の司会の堂に入ったマイク捌きとミラーボールの演出にも思い切り笑わせていただきました。

休憩をはさんで東京モンキーズ「似顔絵刑事(デカ)」は、相方の踊りをバックに歌謡曲を歌いながらでないと犯人捜査のための似顔絵が描けないという特異体質の刑事と、FBIに戻りたい美人エリート警部のコンビが出てくるコント。目の前に座っているお客の中から適当なのをみつくろって即興で似顔絵を描き、できたところでそのお客を舞台上に引っ張り上げるという趣向で、この似顔絵が実によくできていました(二番目に舞台に上がらされた、既に孫もいるという女性が美人でした)。

そして最後はもちろん、主宰の河内家るぱんさん。「あこがれの甲子園」(笑福亭福笑作)は、甲子園の開会式直後の第一試合で25-0で負けたチームの打上げ会。監督は最初こそ「君たちはよくやった、胸を張って帰ろう」なんて言っていたくせに、予選から断っていた酒を生徒に勧められて飲み進めるうちにだんだん本音が出てきて……という噺で、酔いが回るにつれて飛び出す監督の悪態がどれもこれも抱腹絶倒。酔態の面白さを見せる芸は歌舞伎で言えば「魚屋宗五郎」ばりで、おまけに一升瓶の底を支えて酒を注ぐ仕種に瓶の重みがずっしり感じられ、客席から「もう(飲んじゃ)ダメー」と悲鳴があがったほど。そして、ところどころで差し挟まれる「でも勝ちたかったなぁ」が最後のオチにしっかりつながる、とてもしゃれた噺でした。