粉飾

2006/12/20

私がほぼ毎日チェックしているブログ「ビジネス法務の部屋」で紹介されていて面白そうだったので購入した『粉飾の論理』(高橋篤史)を、ようやく読了しました。

本書では、ライブドアの事件をプロローグとエピローグにして、カネボウとメディア・リンクスの粉飾事件の経緯を詳細な取材によって再構成し、さらに監査法人の関わりや中央青山への処分の顛末についても詳述しています。電車の行き帰りでしか読めなかったので日数はかかりましたが、非常に面白く引き込まれました。

「面白く」と書きましたが、あまり面白がってもいられなかったのは、メディア・リンクスが陥った架空循環取引の連鎖については自分自身前職(某IT企業の法務担当という立場)において「いろいろな意味」で因縁浅からぬ立ち位置にいたからで、ちょっと具体的な説明は難しいのですが、本書に書かれていることを読んで腑に落ちたり頷かされたりする点が少なくありませんでした。

そういう特殊な立場になくても、近年の企業会計不祥事や監査・内部統制といったキーワードに関心をお持ちの方は、ぜひ一読されることをお勧めします。上質のエンターテインメントとして読むこともできるので、集中して読めば一気に読み通せるでしょう。