恋文

2007/02/18

今日は、叔母の葬儀で愛媛県の松山に日帰り往復。咽頭ガンで手術をし、一度は完治したと思われたものの、再発して入院という、まるでリリー・フランキーの『東京タワー』を地で行くような経過の末に、一昨日ついに亡くなったものです。最後の入院生活は数カ月に及び、この間家族(叔母の息子=私のいとこ)もずいぶん苦労したようですが、『東京タワー』と違って痛みに苛まれるということがなかったのが幸いでしたし、最後まで看取りきったという満足感がいとこにはありました。

今朝一番のANAで松山空港に降り立ち、そこからタクシーで斎場に直行するとちょうど棺に納める直前で、床に横たわる叔母に最後の挨拶をすることができました。そして皆で棺に移して故人の思い出の品を入れていったのですが、とりわけ目を引いたのが古びて茶色に変色している何十通もの封書の束。全て、先に亡くなっていた叔父が結婚前に叔母に送っていた手紙、つまりはラブレター。これを見て孫娘たちは泣き出してしまいましたが、叔母は半世紀もの間、それらの恋文を大切な思い出として手元にとっておいたのです。

そんなふうに大事にとっておけるような手紙を、自分はあいにく持っていません。電子メールのやりとりでは、棺の中に持ち込むこともできないし、自分と一緒に灰にすることもできません。そのことにもまた、悲しい思いをしました。