振付

2007/11/23

モーリス・ベジャール氏が亡くなったという知らせを知人からケータイメールで受けて、あわててニュースサイトで調べてみたら、10月から体調を崩して入退院を繰り返していたようです。享年80歳は、まだ早い。

ベジャール振付のバレエ作品は好きで、機会があるごとに東京文化会館やゆうぽうと等に足を運んできました。特にベジャールの名を高めたジョルジュ・ドンの「ボレロ」をじかに見ることができたのは、大きな誇り。他にも「アダージェット」「ギリシャの踊り」「バレエ・フォー・ライフ」「バクチ」「ペトルーシュカ」「ニーベルングの指輪」といった名作や話題作を、ドンやミシェル・ガスカール、シルヴィ・ギエムらの踊りで観てきましたが、そうした名手たちにカリスマ的なオーラを与えたのが、ベジャールの独創的な振付と演出であったでしょう。回転や跳躍で重力から自由になろうとするクラシックとも、器械体操的なバランスで人体の能力を誇示しようとするコンテンポラリーとも異なって、ベジャールの作品には大地や海といった「拠り所」への執着のようなものがあったように思います。それを端的に示した「春の祭典」を京都で見たときには、その土俗的なエネルギーの放射に圧倒されたものです。

追悼の意もこめて、今夜は久しぶりに「ボレロ」のLDを引っ張り出そうと思います。