個展

2008/09/27

昔むかし、まだ私が20代の新米係長のときにお仕えした方(当時部長)から、パステル画の個展を開かれるというお知らせをいただき、そそくさと銀座へ行ってきました。

当時(20年前)は、その職場が所掌している制度が税制改革の余波で大幅な変更を余儀なくされ、毎日がまるで戦場のように忙しかったのですが、この方の人徳で部が一つにまとまっていて、自分の職業人生の中でも最も濃密で楽しい2年間を過ごさせていただきました。ゆえあって転職した後も、この方からは毎年年賀状を頂戴していたのですが、そこにいつの頃からかご自身のパステル画が印刷されるようになっていて、いつかはまとまった披露の機会を作られるのだろうなと私の方でも密かに楽しみにしていたところ、ついにご自身の夢を実現されたというわけです。

ちょうど運動会が開催されていて賑やかな泰明小学校の向かいのビルの四階にある銀座アートスペースの個展会場は、各方面からのお祝いの花が飾られ、中央のテーブルにワインも用意されたこじんまりと親しみやすい空間にしつらえられていて、そこで10数年ぶりにお目にかかった作家=元上司は昔とまったく変わらない満面の笑みと握手で私を迎えて下さいました。

「ゆっくりしていって下さい。今日は休みなんでしょう?」とのお言葉をいただいて壁に掛けられた20点ほどの作品を拝見したところ、これまでいただいていた年賀状に印刷されたパステル画は人物画が多かったのですが、出展されている絵は静物画あり、風景画ありと多彩。港の風景を描いた一点は穏やかなブルーのグラデーションが実に美しかったし、「浅間山」(下の写真)は現実にはあり得ない大胆な赤系統の色が山のボリュームを自然に際立たせていて、作家の色彩感覚の豊かさを感じさせます。こうしたリアルの世界で人に見せられる作品を創作できる才能というのは羨ましいことだと、つくづく感じ入ってしまいました。

ひとしきり作品を拝見した後に、ワインをいただきながら諸々の話をお聞きし、最後に記念撮影をさせていただいてお別れしましたが、これからは山を描くことに力をかけていきたいとおっしゃっていたこともあり、次の機会を楽しみにお待ちしたいと思います。