点記
2009/06/28
この日、荻窪でのボルダリングセッションを終えて渋谷への移動の途中の新宿で見掛けた光景が、こちら。
ルプス広場もずいぶん綺麗になったものです。昔は北アルプスや南アルプスへ登山に行くときは、このアルプス広場で列を作って中央本線の夜行に乗ったものですが、今は夜行列車もほとんどなくなって、「アルプス広場」の名に見合う機能をこの空間が果たしているかどうか疑問。
さて、北アルプスの代表的な山と言えば、槍に穂高、そして剱岳。この日のメインイベントは、映画『劔岳 点の記』です。
陸軍参謀本部陸地測量部の測量手・柴崎芳太郎を夫に持つ若妻・葉津よ(宮﨑あおい)は、前人未到の剱岳に山岳会よりも先に登頂し、三角点を設置せよとの使命を課せられた夫を励まし、その荷の中にそっと御守りを忍ばせる。柴崎は艱難辛苦の末に剱岳への登頂を果たすが、そこで見たものは奈良時代の修験者の錫杖と剣だった。初登頂ではなかったことを新聞が書き立て、陸地測量部の首脳も激怒するが、葉津よは優しく夫を迎えるのだった。
と、宮﨑あおいさん中心にストーリーを再構築してみました。
……それはともかく、映画は新田次郎の原作とは設定を変えているところも散見されますし、登山の場面で言えばその天候で行動はしないだろう?とか、雪崩をまともに受けて跳ね飛ばされないはずがないだろう?とか、いきなり三角点の資材を担いで未踏の登路を登ったりはしないだろう?といった疑問点も若干ありますが、オールロケで撮影されているだけに映像はいたって丁寧です。
ただ、やたらと暴風雨のシーンが連発されるのにはちょっと辟易する上に、ずいぶんと生真面目な映画で人間ドラマもいまひとつ平板。何より最後の登頂があっさり達成されたようにしか見えなくて残念です。実際には俳優さんたちが長次郎谷を旧式装備で登って北方稜線に出るというけっこう難しいことをしているのですが、だいたいこういうシーンで本当の難しさを映像的に表現するのは至難ではあるのでしょう。それにしても、何か脚本にひと工夫が欲しいと感じました。
なお私自身は、剱岳にこれまで4回登頂しています。
そして来年のゴールデンウィークには、行けるものなら剱尾根を登ってみたいと思っているのですが、果たしてどうなるでしょうか。