ツボ

2009/10/05

うっちゃまん女史からいただいた『歌舞伎にすと入門』が、「超」がつくくらい面白い本でした。

この本の著者は、イラストレーターの辻和子さん。サブタイトルに「知る観るKABUKI 100のツボ」とあるように、歌舞伎鑑賞のポイントをワンポイント見開き2ページで、そこに著名演目の一場面を、タッチはかわいいけれども実は考証が行き届いたイラスト2/3ページサイズで添えて解説しています。全体が6章に分かれていて、率直に言うとこの章立てと内容がどう照応しているのかよくわからないところもあるのですが、ワンテーマにつき基本は1演目、例外的に多いと5演目くらいを紹介しながら歌舞伎のトリビアが開陳されます。

一例を引用してみましたが、なるほどゴレンジャーのルーツが白浪五人男にあったとは……。

今トリビアという言葉を使いましたが、この本は、前書きでは今まで歌舞伎を観たことがない人を対象にした入門書として読まれることを意図しているように書かれているものの、読んだ限りではむしろ歌舞伎の演目をある程度幅広く観てその面白みがわかりかけてきた鑑賞者に、もう少し突っ込んだ鑑賞ポイントを提供するという用途にフィットするように思いました。実際、この本に引用される演目の多くを既に観ている私も、読み進めながら「なるほど、そうだったのか!」と膝を打ったり目から鱗が落ちたりすることたびたび。つまり私自身のツボにはまったわけで、ホント、楽しくかつ勉強になりました。