塾長の備忘録

塾長の備忘録

私=juqchoの日常の雑感を不定期に綴る、個人的な備忘録。

黒海

2012/11/18

午後、国立能楽堂で能楽鑑賞の後、表参道へ転進。友人の1人から、1カ月近く遅れながら誕生日を祝ってやろう(ただし割り勘で)という奇特なお申し出をいただいて、これまたちょっと珍しいルーマニア料理店「ダリエ」にお伺いしました。

表参道駅から徒歩数分という交通至便の地、コンクリート打ちっぱなしのモダンな外観のビルの地下に降りると、しっかりしたドアの向こうから温かい光が漏れていて、そこがダリエでした。

周知の通り、ルーマニアというのは「ローマ人の国」という意味ですが、ルーマニアがローマ帝国の属州ダキアだったのは2世紀から3世紀にかけてのことに過ぎません。その後はゲルマン系のゴート族や中央アジア由来のフン族、さらに下ってはハプスブルク家やオスマン帝国の支配を受けているのですが、ただしスラブ語の支配的な東欧では珍しくロマンス語(口語ラテン語を起源とする言語)系のルーマニア語を公用語としている点で、国名の正当性を維持しています。

しかし、その料理はやはり独特。前菜に野菜&ペースト、レアチーズのサワークリームがけ、チキンレバーのソテーをいただいた後、ルーマニア風ロールキャベツのサルマーレや、豚肉を使った挽肉団子のミティテイを食しました。これらは見た目のボリュームは大したことがないのですが、食べ終わってみると満腹というのが怖いところで、2人なら1品少なくてもよかったでしょう。また飲み物は、ルーマニアビールのウルススとピノ・ノワールのワインをいただきましたが、前者はしっかりした味わい、後者はさっぱり系。そして最後にいただいたデザートは、ドーナツにサワークリームとジャムをかけたパパナッシュ。

ルーマニアと言えばドラキュラ、コマネチ、チャウシェスク。1989年に独裁体制を脱して今ではEU加盟国の一つなのですが、お店の人曰く、今のルーマニアで怖いのはむしろ膨大な数の野犬。また経済的には恵まれない国の一つに入るものの、農業国らしく安定した生活水準が維持されてきていたのが、独裁体制崩壊後はむしろ貧富の差の拡大という問題を抱えているそうです。

ところで、なぜルーマニア料理店になったのか。実は、どこか行きたいところはあるか?とあらかじめ訊かれたときに「地中海系かなあ?」と答えたところこの店がセレクトされていたという経緯なのですが、えーと、ルーマニアが面しているのは地中海ではなく黒海ですから!