ほか
2014/07/19
既報のとおり、東京新聞による『岳人』の発行はこの2014年8月号(通巻806号)をもって終了し、来月からはモンベルグループのネイチュアエンタープライズが同誌の発行を引き継ぐことになっています。新しい発行元のもとで、『岳人』のDNAがどこまで引き継がれるのか、あるいはどのような新機軸が打ち出されることになるのか、共に楽しみではありますが、モンベルグループにとってのビジネスシナジーという面からもその帰趨をしばらく注視してみたいもの。
振り返ってみると、私が最初に『岳人』を買ったのは山登りを始めて数年たった頃で、手元に残っている最も古い『岳人』は1987年2月号です。その表紙や特集記事「雪の奥秩父連峰」の中に笛吹川東沢でのアイスクライミングがとりあげられていることからもわかるように、一般向け登山雑誌大手のもう一誌と比べるとやや高いレベルの登山愛好家に目配りした編集方針になっていて、『岩と雪』世代ではない私がその後アルパインクライミングをたしなむようになってから折に触れて書店で手にとったのは、やはり『岳人』でした。実際、阿弥陀岳北西稜や旭岳東稜に登ったときには、『岳人』に掲載されていたトポを事前に研究してから実地に臨んだものです。
……とこちらが勝手に感慨に耽っている隙を突いて、現場監督氏が最後のお駄賃とばかりに写真を投稿し、見事に本号の「新岳人写真倶楽部」のトップに掲載されていました。それが、今年4月下旬の鹿島槍ヶ岳天狗尾根の上部で撮られたこちらの写真です。背後に伸びやかに連なる天狗尾根、その左には雪を溜め込んだカクネ里も見えていて素晴らしいロケーション。そんな景色の中を黙々と登る、銀のヘルメットと赤いヤッケ姿も精悍なクライマー(=私)。まさに傑作と言えましょう。しかし!
肝心のモデル(=しつこいですが、私)が「ほか」というのは、どういうこと?