引籠

2019/11/17

今週末は湯河原に泊まって金目鯛の煮付け…もとい、幕岩クライミングの予定でしたが、水曜日の午後から謎の発熱と下痢に見舞われダウン。木曜部・金曜日と会社を休み、やっと日曜日の今日になって回復しましたが、既に時遅しでした。でもって、こういうときに限って土日とも素晴らしい天気。山仲間・岩仲間の楽しげなレポートを横目に見ながら、ひっそり自宅に引きこもるしかありませんでした。

久しぶりにこいつを取り出してはみたものの、練習をしていなければ腕はどこまでも落ちてゆくというのはクライミングも楽器も同じです。それでも、3日間ほどほぼ絶食だったおかげで多少ダイエットになったのが、救いと言えば救いかも?しかしさすがにそれだけでは寂しいので、ベッドを脱出できるようになった土曜日から映画を2本ほど見ました。肩の凝らないSFがよかろうと選んだのはこちら。

まずは「Gravity」(2013年)です。スペースデブリの暴走のためにスペースシャトルを破壊され宇宙空間を漂うことになった主人公が、絶望と希望の間を行き来しながら最後に地球に生還する話。ストーリー自体は単線でさほどひねりのないものですが、宇宙空間を舞台とする圧倒的な映像のマジック(美しく、かつ不思議)と、サンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーの演技が素晴らしく、そのサンドラ・ブロックを追うカメラの視点移動の見事さにも何度も息を飲みました。ついでに言うと、ジョージ・クルーニー演じるコワルスキーの事故に瀕した際の冷静かつ人間味あふれる対処ぶりにも、何度か山で緊急事態に遭遇したことがある自分の目線からすると、とても参考になる点が多いと感じました。

ついで「2010: The Year We Make Contact」(1984年)。これはリアルタイムで映画館で観ているのですが、今から35年も前の映画とは思えないほど、こちらも映像美に満ちています。さすがに米ソ冷戦を背景とした設定は今となっては古臭く、しかも結末の予定調和は当時この映画を観た誰しもが御都合主義に過ぎるのではないかと非難轟々でしたが、それでも木星上空での手に汗握る大気ブレーキやイオ軌道上での宇宙遊泳の恐怖感、ロイ・シャイダー演じるフロイド博士の背後にホラー映画よろしく現れるボーマン船長、地球への緊急脱出を巡るHAL9000とチャンドラ博士の息詰まる対話など、映画的な面白みが随所にあって一瞬たりとも飽きさせません。その対話の中で、ブースターとしての役目を終えたディスカバリー号が(木星ノヴァの衝撃波に呑み込まれて)破壊されることを知らされ、数秒の沈黙の後にこれを受け入れたHAL9000が、チャンドラ博士に「Will I dream?」と問い掛ける場面は泣かせます。ただし、字幕を見ていて「その訳は違うのでは?」というところがいくつもあったのは気になりましたが。

あとは「Dune」(これも1984年)もこの際観てみようか(テレビ放映されたものは観たことがありますがフルで観てはいないので)とも思ったのですが、なにしろ監督デヴィッド・リンチ自身が失敗作と考えている上に、その悪趣味的世界観が全面に出ており、映画マニアの間ではカルト作として一定の評価も得ている(Wikipedia)という曰く付きの作品なので、二の足を踏んでしまいました。

それよりも健全な映像でこの週末を締めくくろう!とYouTubeでアクセスし、実践したのは「ボルダリング体操」です。

実は金曜日、まだ体調不良ながらこの映像の制作元である「ボルダリングの整体院」に足を運び、この2カ月ほど疼痛に悩まされている右肩を診てもらったのですが、その院長・山田さんこそ、かつて北岳バットレス錫杖岳、あるいは今年アイスクライミングでご一緒しているヤマダくんその人です。整体院の方には2週間に一度通うことにし、それまでの間はすきま時間を見つけてはこの「ボルダリング体操」を行うつもり。