三回
2022/11/06
この日は亡父の三回忌法要を野津田の華厳院にて。
本堂で供養をしていただいた後、墓に詣でてこれを清め、新調した卒塔婆を立てて祈りを捧げてから家族一同で会食としました。その際、私は最近の佐渡旅行の帰路に父を意識する機会があったことを話したのですが、それはこういうことです。
佐渡から新潟市へ戻るフェリーの船尾に立ったとき、スクリューが生み出す渦巻きが強烈な推進力となってフェリーをぐいぐいと押しているさまを目の当たりにして感動したのですが、実は父の仕事もこうした船舶(それも外航海運)の機関系でした。自分が子供の頃に一度、父が機関長を務めている船が停泊しているところへ母に連れられて船内に入ったことがあり、その船自体の大きさもさることながら機関長の個室の広さに目を丸くしたことを覚えていますが、それはともかく、機関系を預かる父の仕事は最終的にその船舶の推進力を確実なものとすることだったことを考えたとき、佐渡からの帰路に見た渦巻きが父の仕事ぶりに重なって見えて、言い知れぬ感慨を覚えたというわけです。
父が乗っていたのはこうした規模感の船だったようですから、その馬力は私が乗ったフェリーにひけをとるものではなかったはず。こうしてその仕事ぶりを後から実感させられるような職についていた父を羨ましく思うと共に、自分自身は40年間の職業人生を通じて後から振り返ってもらえるものを残せていないことに思い至り若干の寂しさも感じたのでした。