鈴蘭

2023/04/05

丹沢の道なき道を歩いていると、かなりの確率で紫のスズランテープ(ビニールのリボンのようなもの)に遭遇します。

私がこれを最初に見たのは2021年に鍋割峠から旧鍋割峠に向かう荒れたトラバース道を歩いたときで、最初は誰か篤志家が道迷い防止のために善意で付けてくれたのかと思ったのですが、それにしては間隔短くやたらたくさん結んでありますし、これではせっかく自力でルートファインディングしようという気持ちで踏み込んでいるのに興醒めです。そのときは疑問と割りきれなさとを抱えたままスルーしたのですが、後日別の方がそこを通ったときに全部外して下さったというレポートを見てほっとしたものでした。

その後、丹沢のバリエーションルートを歩いたネット上の記録を見ると、やはり同様の感想を持ってこのスズランテープを問題視している人が複数いることがわかり、それはそうだろうなと安堵したのですが、そんな中、つい数日前にも丹沢のある尾根で再びスズランテープに遭遇してしまいました。

最初に見つけた場所は確かに尾根の降り口を間違えやすいところで、そういう点では意味がなくもないのですが、それでもあえて言ってしまえば余計なお世話です。しかも降り口だけにあるのならまだしも、そこから目が届く範囲内の距離ごとに絶えることなくテープが続いていて「ヘンゼルとグレーテル」のパンくず状態。さすがにここまでくると、他人のための道しるべというより自分の足跡を誇示するためのマーキングとしか思えません。そもそもGPS全盛の昨今、こんなテープに頼らなくても道に迷う気遣いはほとんどありませんから、そういう意味では山にゴミを残しているのと同じことです。というわけで試みにどれくらいのゴミの量になるのかと律儀に一つ一つ外していったところ、一直線の尾根筋の標高差150mの中でポケットがいっぱいになるほどの量が回収できました。

それにしても自力救済的にスズランテープを回収することが問題ないのかと言われると、実は、自分としては今ひとつ確信が持てていません(地面に落ちているゴミならためらいなく拾うのですが)。折しもヤマケイオンラインにこうした点に関連するコラム記事が掲載され、その中で結論として「目印テープは残置しないように」と書かれていたのは好材料ですが、一番いいのはもちろん、スズランテープの主がテープを残す習性を改めて下さることです。

←上記コラムから抜粋。