農口

2024/05/17

5月と言えば毎年恒例の大名筍の季節。今年もあらかじめ予約をして新橋の「一由」を訪れました。

目も綾なさまざまな料理の中にあってひときわ大きな存在感を示す大名筍。焼かれているときにもじゅうじゅうと汁を滴らせるほど瑞々しい筍はほくほくと柔らかく食べ応えがあって、まさに自然の恵みをそのままいただいている感じです。ごちそうさまでした。

そしてこの日のお酒は、初めていただいた「農口尚彦研究所」(石川県小松市)ブランドです。能登杜氏の第一人者と言われる」農口尚彦氏の技と経験を活かし、五百万石と霊峰・白山の伏流水から作られるお酒は基本的には淡麗辛口系なのですが、最初にすっきり目だという左の「観音下かながそ」をいただいたところ滑らかな飲み口の中に親しみやすい旨みがあって、アルコール度数20度と高め(日本酒の一般的な度数は15度)であることを感じさせない飲みやすさ。次に飲んだ右の「本醸造酒 無濾過生原酒」もアルコール度数は19度ですが、豊かな味わいの中にかすかにスモーキーなフレーバー(これは相方と意見が分かれました)を感じつつも抵抗感なく飲み進んでしまうおいしさ。そしてもちろん、いずれもこの日の料理との相性が抜群でした。これはすごい。

さらにうれしいことに、帰宅してから調べてみるとお値段は存外にリーズナブルで、これならネット通販で買い求めて自宅で楽しめるぞとほくそ笑んだのですが、相方曰く「何を言っているのか、小松まで飲みに行くしかないでしょう。石川県にお金を落としにいかなくちゃ」。いや、お説ごもっともではありますが……。