季節

2000/04/18

ネオ・プログレッシヴロックの雄Dream Theaterの来日を目前に控えて、少しずつこれまでの彼らのCDを聴いているところですが、キーボード交代直後の試作品的な位置付けながら『A Change of Seasons』に結構まいっています。

タイトル曲の「A Change of Seasons」は、もともと1989年にあの名作『Images and Words』に収録する予定で作曲されながら、その後紆余曲折を経て1995年にようやく日の目を見た作品。七つのパートが23分にわたり切れ目なく演奏されますが、この1曲のためにこのCDを買う価値があると言えるほど、多彩な音楽的アイデアと魅力的な演奏に満ちています。たとえば「The Darkest of Winters」ではギターのハードなリフをプロムナード的に使って、オルガンソロ→ギターソロ→シンセピアノ→ギター / シンセ / ベースの高速ユニゾン→ドラムのフィルとキーボード / ギターのユニゾン、といった具合に多彩な演奏が息をつぐ隙もなく展開し、最後は雄大なシンセとオルガンの白玉が開放感をもたらして次のボーカル曲へ移る構成。あるいは「The Inevitable Summer」では静かな曲調の中で7/4拍子のギターがしみじみとソロを聴かせますが、長めのソロの最後の下行フレーズで唐突に転調して警告音のようなシンセのサイレンが鳴り、4/4拍子のハードなギターのリフがリスナーの意識を急激に覚醒させてから最高にテンションの高いシンセソロが空間を切り裂くドラマティックさ。

5月に来日するDream Theaterはまたまたキーボード・プレイヤーがチェンジしているのでこの曲が演奏される可能性は低いですが、それでも彼等の圧倒的な演奏力にじかに触れるのがますます楽しみになってきました。