鍼灸

2001/02/10

前々からの肩の関節炎と膝痛を直すことを期待して、知人に紹介してもらった恵比須の鍼灸院「呉迎上海第一治療院」へ行ってきました。

恵比須駅から歩いて2分の便利なところにある治療院のドアを開けて受付で少し待つと、院長の呉澤森(ごたくしん)先生が診察室に招き入れてくれます。診断は最初に両手首で脈をとります。先生は人さし指・中指・薬指の3本を揃えて私の手首にじっとあて、ときどき圧力を変えながらじっと1分くらいずつ。続いて舌を診て、次に私の両手を甲を上にして机の上に置かせ、さらに目と耳。それから睡眠時間と便通、耳鳴りの有無、眠りの深さや夢を見るかどうかなどを確認された上で、初めて具体的にどこが悪いかを聞かれました。後で先生が書いた『鍼灸の世界』(集英社新書)を読んでみると、この一連の過程は、患者の外見を観察する「望診」、声や呼吸音を聞いたり匂いをかぐ「聞診」、患者に触れて体内の状態を把握する「切診」、そして患者の自覚を聞く「問診」からなる「四診」と呼ばれるもので、たとえばわかりやすいものでは親指の爪に溝ができていたら過労で消耗している証拠(そういえば私の親指の爪にもうっすらと筋が……)。先生の見立てもやはり慢性的な疲労で、本人はそれに慣れてしまっているので自覚がないものの、蓄積された疲労をとらなければ身体の各部の痛みは直らないし、そのためには鍼灸によって「気」の流れをスムーズにしてやることが有効とのこと。

別室の治療台の上にうつぶせになっての治療はまず整体から入り、ついでいよいよ鍼と灸。首の後ろに4本、肩甲骨から背中にかけて10本以上、腰、膝の裏、足首などにもたくさんの鍼が打たれ、さらに灸が何カ所かにすえられてそのまま20分ほど安静に。鍼を打つときはちくりとしますが、決して痛いという感じではありません。ただ放置されている間、「こんなハリネズミみたいな状態のときに大地震でもあったらおおごとだな」と妙な不安を覚えました。また、うつぶせの姿勢に飽きて背中の筋肉に力を入れてみると、やはりちょっと痛みが感じられます。灸の方も「昔のものとは違って『熱い』と思ったところから30秒くらいで冷めますから」と説明を受けた通り、ぼんやりとした暖かさがかえって気持ちいいくらい。鍼が取り除かれた後でもう一度整体があって終了。最後の整体は実はチョンボで余計だったようですが、おまけしてもらいました(←ラッキー)。

気になる効果のほどは、もちろんこれで直ちに症状が緩和するわけがありません。しかし、身近に座骨神経痛が数度の鍼治療で完治した人がいますし、WHO(世界保険機関)も鍼灸医療の適応疾患リストに「肩関節周囲炎」と「変形性関節症」を載せています。そんなわけで、これから何度か通って、治療を受けるつもりです。