健在

2001/04/23

最近購入したのは、Sagaの2枚組ライブCD『DETOURS』です。

Sagaは、私のフェイバリット・バンドであるRushと同じカナダのロックバンド。ドライブ感があってシンフォニックなサウンドはまさにプログレ・ハードの醍醐味ですが、存在感のあるボーカルと小気味よいギター(特にバッキングのセンスは抜群)もさることながら、やはりこのバンドを特徴づけているのは専業のシンセサイザー・プレイヤー以外にベーシストとボーカリストもキーボードを担当するトリプルキーボードという構成にあります。このライブCDはCD-EXTRAになっていて、2枚のCDのそれぞれに「Pitchman」と「Intermission」という、いずれもかつて私がLPを買って感動した『Heads or Tales』に収められていた曲のライブ映像が入っていますが、特に前者ではリード・シンセサイザーの艶やかで引き込まれるようなソロのバックでベーシストがブラス系の派手なリフを鳴らす様子が見てとれます。まさにSagaならではのゴージャスな楽曲と言えるでしょう。

さて、私がこのバンドを知ったのは1982年か83年に、当時土曜日の深夜にやっていた小林克也の「Best Hit USA」で彼等のヒット曲のMTV(ライブ)を見たのがきっかけでした。曲名はわからなかったものの、自然に身体が動き出すような16ビートのリズムの上に印象的なボーカルが響き渡り、中間部ではギターとシンセサイザーが細かいフレーズでのユニゾンプレイを聴かせるこの曲にすっかり心を奪われて、しばらくしてからレコード屋に行って買ったのが、当時リリースされたばかりの『Heads or Tales』だったわけで、これはこれでとてもよかったのですが、残念ながらテレビで見たあの曲は収録されていませんでした。

その後長い間彼等の音楽を聴く機会はなかったのですが、先日渋谷のHMVへ吉松隆のピアノ曲のCDを買いに行ったついでにロックのコーナーに足を向けて、たまたま目に止まったのがこの『DETOURS』。デビュー20周年に当たる1998年に行われたライブを収録した本作を買い求めて直ちに帰宅し、期待しながら聴き進めていって2枚目の2曲目に辿り着いたときにようやく、初めて彼等の存在を知ることになったあの曲を再び耳にすることができて大喜び。この曲=「On the Loose」はSagaの最もヒットしたアルバム『Worlds Apart』に収録されていた曲だったことがここで初めてわかったのですが、20年近く前に、それもたった一度聴いただけで記憶の奥にしっかりと刻み込まれたあのボーカルもユニゾンプレイも、どこまでも続くような楽曲自体の高揚感も健在であったことに、深い感銘を覚えました。