八弦

2005/04/10

今月買った音楽ネタは、Emerson, Lake & Palmerの『Works Orchestral Tour』です。

これは、傑作『Brain Salad Surgery』の後に(ライブ盤を除くと)3年間の沈黙をはさんで1977年に発表された『Works』に基づく、モントリオールでのライブを収録したDVDです。なんといっても見どころは、7万人の聴衆を前に展開された、65人のオーケストラを伴った大掛かりなステージングでしょう。「The Enemy God Dances with the Black Spirits」から始まり、「Pictures At An Exhibision」「Pirates」などの大作や「C’est La Vie」「Tank」それに懐かしい「Nutrocker」なども交えて、最後は「Fanfare for the Common Man」で締めくくるステージは(画質や音質に問題はあるものの)ファンなら必見です。

Keith Emersonの「Piano Concerto No. 1」の第二楽章での強烈な左手には驚かされますが、他の曲でもドリームマシンYAMAHA GX-1の能力を最大限に引き出すKeithの全盛期のプレイを拝むことができますし、Greg Lakeもちゃんと往年の音域を保っています(「往年」の映像なんだから当たり前)。そしてCarl Palmer!彼に関してはとにかくタイム感が恐ろしく悪いドラマーという評価は確立したものがあって、トリオでのプレイならEmersonがリズムを引っ張るからいいにしても、オーケストラの指揮者は大変だろうなと思っていたのですが、この演奏の中では破綻なく叩ききっていて胸をなでおろしました。そして、あのBill Brufordがロールの速さでは世界一と評したスティックさばきはこのDVDでも随所に見ることができ、同時にBillがバスドラを踏みながらTシャツを脱ぐのはそろそろやめた方がいいと、誰か注意してあげればいいのにと冗談混じりに語っていた、そのパフォーマンスもやはり健在でした。

ところで、私はこの頃Greg Lakeが使用していたAlembic製の8弦ベースの音が好きで、つられて某国産G社の8弦ベースを買ったら音が全然違ってがっかりしたという忘れたい過去を、このDVDを観て思い出してしまいました。