照射

2006/02/08

クライマーというのは身勝手な生き物です。パートナーとロープでつながっているときはお互いに「絶対落ちるなよ」と念じるのに、これがボルダリングジムでこちらが登っていない / 登ったばかりの課題にトライしている相手の背中には「落ちろビーム」を照射するのですから(私だけですか?)。

Sakurai師が久しぶりに「J&S」に行く、それも先日私がしつこく粘ってようやく片付けた課題を登るという情報を得た私は、仕事を無理矢理片付けるととるものもとりあえず21時に「J&S」へ。しかしSakurai師は既に30分ほども前に到着していて、私が「落ちろビーム」を照射するいとまもなく、例の課題をゲットした後でした。や、やられた〜。一応「厳しい課題じゃないですか。7回くらいトライして、腕が張りましたよ」と外交辞令をいただきましたが、さすがです。あとは6級から5級の課題を中心にいくつか練習しましたが、さてくだんの課題にお互いにリトライしてみると、不思議なことにこれが登れません。我々「おやぢれんじゃあ」の間では、仲間の目の前で復習して見せなければその課題を登ったと認定してもらえないという不文律があるので私もSakurai師もあせったのですが、やはりどうしても登れません。結局「今日は湿度が高くてホールドが滑るのだろう」とジムの環境のせいにするような捨て台詞。しかし正直なところは、私が下手なだけです。

さて、私のアルパインクライミングにおけるアンチョコの一つは堤信夫氏の『全図解クライミングテクニック』(写真左)ですが、同じ著者が書いた『全図解レスキューテクニック』(写真右)をAmazonで注文していたのが今日届きました。

組織に属さずにクライミングをやっている者の大きな弱点が、事故のときの救援体制がないことと、ファーストエイドやレスキューの技術の学習がなかなかできないことです。先日Sakurai師も都岳連の「登山で必要な応急処置」という講習会に参加して有意義だったと言っていたし、私もそうした学習の必要性は切実に感じているのですが、まずは手近なところで本を読んでみようというわけ。ぱらぱらとめくってみると、事故者の搬送の仕方とか引き上げシステムなどがわかりやすい図解つきで説明されていて大いに参考になりそうです。とはいっても、実践を伴う練習が必要なのはもちろんなので、私もいずれ機会を得て実技つきの講習会に参加するつもり。そうすれば、厳冬期松本アルプス縦走で遭難者が出ても、すぐに出動できます。