祝福

2006/02/09

我らが敬愛する山ヤ氏のブログに、彼が先日登ってきたアコンカグアの写真がアップされていました。アコンカグアは、標高こそ7千mにわずかに足りませんが、南米大陸の最高峰。技術的には比較的登りやすいとされていても、人間に長時間の滞在を許さないその厳しい環境は、選ばれた者の目にしかこの景色に触れさせていません。そう、山はやはり「高きがゆえに尊い」のです。

それにしても、なんと神々しい写真たちなのでしょう。最初のお花畑の風景からして、既に俗世を遠く離れて凛とした潔癖さを感じさせますし、その後に続く、荒涼として、しかも優しい不思議な景色の数々には息を飲んで見入ってしまいます。厳しい寒さの中に孤独感を漂わせるテント、オレンジに燃え上がる雲と雪原、澄み切った空気と見はるかす山並みの大きさ、成層圏まで続く空の高さ……。そして遂に到着した山頂の写真を見ていると、山ヤ氏に、いやアコンカグアに真っ直ぐ視線を向けられて「お前はいったいなんのために山に登っているのだ?」と自分の原点を問い直されているような気にさせられもします。

山ヤ氏のアコンカグア行は、これが3回目。最初の挑戦のときに深刻な高度障害に見舞われてレスキューの対象となり、彼は今でもそのときの後遺症を抱えています。2回目は、登頂よりも巡礼といったニュアンスだったのでしょうか?そして今回ついに、誰の力も借りることなく、久遠の憧れであった山頂に達したのです。彼の山を愛するピュアな心と行動力を愛でてアンデスが与えてくれた美しい風景の数々に上記の写真で触れることができて、見ているこちらも幸福な気持ちになってきました。山ヤ氏に、心から「おめでとう!」と祝福の言葉を贈ります。