夕涼

2008/08/03

いやになるほど暑い日が続いているこの夏、なにか涼しくなる企画はないか?と思っていたら、小金井公園の江戸東京たてもの園で「下町夕涼み」と題した縁日風のイベントをやるということを聞いて、これ幸いと夕方を待ちきれず14時に園内に入ってみました。

江戸東京たてもの園は江戸東京博物館の分館で、文化的価値の高い歴史的建造物を移築し、保存することを目指したもの。東西に伸びた敷地の中に、江戸から続く古民家、戦前・戦後のモダンな洋風邸宅、下町の店舗群などが並び、その全てが中に立ち入ってそこに暮らした人の生活の様子を偲ぶことができるようになっています。

うるさいくらいの蝉の声に包まれながら入った江戸東京たてもの園の入口で配られたパンフレットで、こうした園のつくりを知ってついついコレクション癖が頭をもたげてしまい、「よーし、こうなったら全館制覇するぞ!」と気合を入れてがんがん園内を歩き回りました。どの建物もそれぞれに風情があり、戦前・戦後の洋風住宅などは厨房のつくりが電気式ホットプレートやらガスオーブンやらをとりいれていてハイソ。また、特に印象深かったのはいくつかの立派な古民家で、子供の頃夏休み毎に訪れていた母方の実家(愛媛県の田舎の村の地主でした)の構えを懐かしく思い出しました。もちろん脇目も振らずストイックに建物ばかりを梯子するほど堅物ではないので、途中の出店でビールを求めたり、古民家前のベンチでイカの一夜干しに冷酒をいただいたりと潤いも忘れてはいません。また、広場で子供たちがコマ回しやベーゴマ、竹馬などに興じるのを楽しく眺め、地元の(?)高校生たちの和太鼓演奏も面白く聞きました。

ともあれ、18時前には全ての建物を見終わって満足感に浸りながら、浴衣姿の目立つお客たちが続々と詰めかけるのと入れ替わりに江戸東京たてもの園を後にしたのですが……待てよ?考えてみると「夕涼み」のために行ったのに、汗だくになって建物を見て回って夕暮れを待たずに園を後にして、いったい自分は何をしに行ったのかわからない結果になってしまいました。