老後

2014/12/10

この2日間は、ゆりかもめのお台場海浜公園駅近くにある研修施設で、会社主催の「ネクスト・キャリア・ワークショップ」に参加しました。要するに、老後の過ごし方とそれまでに準備することとを今のうちに考えましょう、という研修です。

この研修は「その年度に55歳を迎える社員」が対象とされていますが、この年はだいたい生まれてから20,000日にあたるのだそうです(私の場合だと、1959年10月22日が生まれた日なので、20,000日目は2014年7月25日)。そして、55歳の日本人男性の平均余命から計算すると82歳までは生きることになっていますが、これは生まれてからちょうど30,000日。つまり、私は(何事もなければ)あと10,000日も生きることになっているというわけです。これは難儀な話だな……。

二日制の研修だけあって内容は多岐にわたっており、各種のワークシートを利用しながら自分史の振り返り、欲求度分析や行動パターン分析、価値観分析、キャリアと人脈の整理などを通じて自分の属性の棚卸しを行い、そこから将来の方向性を見定めて今なにをすべきかを計画化しました。その中で、過去を振り返るのは難しくないのですが、将来のライフイベントを書くワークシートの作成には少し困りました。

〔実際に想定されるライフイベント〕  〔やりたいこと(希望を含む)〕
80歳後半代
80歳前半代
70歳後半代
70歳前半代
60歳後半代
60歳前半代
50歳後半代
現在

こんな感じの表を作成するのですが、はっきりしているのは82歳で寿命が尽きるであろうということ(だけ)なので、その辺りに「お迎えがくる」とまずは記入。そして「実際に想定されるライフイベント」の60歳には「定年」、65歳には「リタイア」と書いたものの、後が続きません。クライミングからは60歳頃に足を洗うとして、「やりたいこと」には何を書こう?思い切り野心的にするなら上洛→天下布武とか世界征服とか書けるかもしれませんが、一応これは真面目な研修なのでそうした野望は闇に葬ることにして、音楽とかチェスとか観能とかの当たり障りのない趣味を深める内容にしておきました。それよりも悩ましく、研修参加者の大半が困っていたのが、「実際に想定されるライフイベント」に記さざるを得ない両親の介護の問題です。こればかりはいつ必要になるかわからない(既に介護を始めている研修参加者もいましたが)し、単に身体が動かなくなるだけでなく認知症も出るようだと、対応の重さが異なってきます。現場を見ると父は相変わらず囲碁が強くて私が歯が立たない程だし母も俳句の吟行に飛び回っているくらい健康なので(これはもちろんうれしいことです)、逆に介護の要否やその時期がさっぱり読めません。

また、さらに往生したのは「セカンドライフ行動計画表」なるワークシートです。これは65歳以降の1週間の過ごし方を各曜日・時間帯毎に予想してみましょうという課題なのですが、だいたいその歳になると平日も休日もない訳で、曜日ごとにイベントをプロットしようという発想自体がナンセンス。それでも私の場合は趣味が少なくはない方なのでまだしもですが、「趣味は釣りくらいです」と言っていた参加者は「釣りに行くといっても週に1回がいいところだし……」と頭を抱えていました。

……とまあこんな具合にいろいろシミュレーションをしながら来たるべき「老後」を現実のものとして直視する体験をした訳で、それこそが研修の狙いだったと思うのですが、このワークショップの中での討議を通じて確認できたことは、いかに老後にやりたいことを見出したとしても、そこには健康面の裏付けと経済的裏付けが必須だということ。さらに、家族との計画共有も今から行っておく必要があります。「熟年離婚」とか「パラサイト」といった言葉に戦々恐々としていては、明るい老後はやってきません。私の場合は、上記の通り介護の問題が不確定要素として残っていることを除けば、主たる要対処事項は「老後に備えた蓄え」ということになりそうです。

……というわけで研修を終えての帰宅途上、新橋で年末ジャンボ宝くじ(3,000円分)を購入したのでした。

明るい老後はお前にかかっている。頼むぞ。