逆走

2015/04/21

旧山手通りの神泉駅入口交差点からうねうねと歩いて道玄坂上交番までの道は、江戸時代には大山街道(R246)から分かれて今の調布市つつじヶ丘で甲州街道(R20)に合流する「滝坂道」の一部であり、大正時代からは渋谷三業通り、近年は神泉仲通りと呼ばれ、そして私の通勤路でもあります。

この辺りがことに栄えたのは三業地=今風に言えば風俗営業地帯としてのことで、ここで言う三業とは料理屋、待合、芸者置屋のこと。しかし今ではそうした由緒を偲ばせる店は裏手の方の数軒に限られてしまい、通り沿いにあったこの粋な黒塀に見越しの松の「三門」も、もはやありません。

その代わりに外国人向けや若者向けの少し洒落た飲食店がこの通りに並ぶようになり、私がこの近くに引っ越してきた1996年当時の景色ともずいぶん変わってきました。そんな環境変化を反映してか、最近この神泉仲通りに新しい名前をつけようという動きがあります。確かに今の風情であればカタカナの通り名が馴染みそうですが、それはそれで多少寂しい気もすることでしょう。

それにつけても、この日記を書きながら自分がこの地に住み着いて既に19年にもなっていることに今更ながらに気付いて、驚いている次第。そんなこんなの感慨を持ちながらこの通りを夜に歩いてみると、どこがどうとは言えないのですが、何か奇妙な気配が漂っていました。

なぜ、こんなことに……。