富講

2020/10/18

この日は(も)自宅でのほほんと過ごす予定でしたが、午前中の天気があまりに良いので山登りをすることにしました。行き先は、自宅から徒歩5分ほどの目黒富士です。

正面には急勾配の参道が設けられていますが、病み上がりなのでここを登ることは避け、左手の斜面の弱点を巧みに突く比較的緩やかな登山道を登ることにしました。

久しぶりに歩く山道の感触は足裏に優しく、あっという間に八合目の標識を過ぎて山頂の境内に到達しました。登山口からここまで、時間にしておよそ2分。ちょっと物足りない……。

それでも境内には多くの信徒が登ってきており、登頂の喜びに浸りながら(?)本殿に参拝していました。ここは天上に近いせいか、どこからともなく妙なる楽の調べが流れてきているのもありがたいことです。

境内中央のひときわ大きい拝殿は氷川神社ですが、その右手脇にひっそりと祠があって、こちらは浅間神社です。主祭神は氷川神社が素盞嗚尊(天照大御神と菅原道真を合祀)、浅間神社が木花咲耶姫命。実は「目黒富士」と言った場合はこちらの浅間神社がゴールになります。

それと言うのも、この「目黒富士」はかつて別の場所にあったものが明治11年にこちらに移されたものだからですが、その顛末については過去の記事に詳しく紹介してありますのでここでは繰り返しません。

両方の神様にお参りをし、御守りをいただいてからの帰路は登りのときに回避した階段(仮称「正面壁ダイレクトルート」)を下りましたが、この急勾配がもたらす高度感はなかなかです(段数はわずか54段)。下界に降り立ったところで鳥居脇の解説板を読んだところ、もともとこの階段はもっと緩やかな勾配であったものが、目の前を通る大山街道(現R246)が明治38年に拡張されたときに急勾配に造り直されたのだとか。また「登山道」が拓かれたのは昭和52年のことで、毎年7月1日には「山開き」の例祭も執り行われているそうです。

来年のそのときまでにコロナが落ち着いていたら山開きに参加してみようと思いながら、目黒富士を後にしました。