切餅

お雑煮はすまし仕立てで餅を煮て

2026/01/15

長年のお付き合いである新橋「一由」さん。昨年は5月に大名筍をいただきに訪れた後、あれこれあって再訪する機会を作れず、すっかりご無沙汰してしまいました。これではいかんとこの日、年始の挨拶を兼ねての「一由」訪問です。

いつものおいしい料理に舌鼓を打ちながら、しぼりたてのお酒のラインナップを右から左へ片っ端から飲んでいっていい気持ち。そしてコースの最後は、めまき数の子に雑煮という鉄壁の正月メニューでした。

ところで、雑煮といえば一般的に関西は味噌・丸餅(煮る)、関東はすまし・切り餅(焼く)と言われることが多いようで、「一由」の雑煮もすまし仕立てですし、絶妙な焼き目の餅はフグのように膨らんでいますが元の姿は四角っぽい。そうであれば典型的な関東風ということになるのかもしれません。

一方、父が健在で家族が揃っていた頃の私の実家では、正月になると大量の数の子と大量の刺身と大量の煮物、さらになんで?と思うほどたくさんの蒲鉾と伊達巻と黒豆が卓上を固め、そこにその年毎のあれやこれやが加わって賑やか(たとえば〔こちら〕)でしたが、締めの雑煮はすまし仕立てで切り餅を(焼かずに)とろとろに溶けかけるまで煮込むスタイルでした。これは、上記の東西別の特徴の微妙なハイブリッドになっています。

そもそも私の両親は共に愛媛県(南予地方)の出身なので、そちらの一般的な雑煮はどういう特徴を持つのかとGoogle先生に聞いてみたところ、次のような回答が得られました。

愛媛県の雑煮は地域によって特徴が異なり、すまし汁( かつお/煮干しだし)に丸餅が主流ですが、香川県の影響で白味噌仕立てに餡入り丸餅を入れる地域や、宇和島などの南予地方では焼き干し鮎だし、今治などでは焼アナゴやじゃこ天、どんこ椎茸が入るなど、だしと具材のバリエーションが豊かなのが特徴です。また、餅を入れない「餅なし雑煮」で里芋を使う風習も一部にあります。

なるほど、いろいろあるけれど「すまし汁に丸餅」が主流ということか。当然、この「丸餅」は焼くのではなく煮るのでしょう。そう言えば何かの折に、母が育った田舎では餅を搗いたら大勢の手で一斉に丸餅を作っていろいろな味付けで食べていたという話を聞いた記憶がありますから、本来は丸餅が基本のところを、東京近郊に移住してからは家で餅を搗くことがなくなったので、入手しやすい切り餅で代用していたというのが本当のところだったのかもしれません。

それはともかく、考えてみるともう長いこと(少なくとも10年以上)煮込んだ餅でのお雑煮を食べていません。自分にとっては、餅の形はともかく「すまし汁で煮る」スタイルの雑煮がソウルフードなので、次の正月にはぜひともそうした雑煮を食したいものです。いや、もちろん自分で作ればいいだけの話なんですけどね……。

最後に、小正月の一句をば。「お雑煮は すまし仕立てで 餅を煮て