塾長の備忘録

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私=juqchoの日常の雑感を不定期に綴る、個人的な備忘録。

放射

2009/02/06

帰宅してみると、郵便受けに何やら外国からの小包。忘れていましたが、The Globe Online Storeに注文していたUKZのデビューEP『Radiation』でした。

早速、封を切って聴いてみましたが……うーん、微妙。ともあれ、まずはメンバーから紹介しましょう。

  • Aaron Lippert - Vocals
  • Trey Gunn - 10-string Touch Guitar
  • Eddie Jobson - Keyboards, Electric Violin
  • Alex Machacek - Guitar
  • Marco Minnemann - Drums

Eddie Jobsonは、もはや言わずもがな。Trey GunnはKing Crimsonでの活躍で、これもおなじみでしょう。Alex MachacekはTerry Bozzioと一緒にOut Trioとして来日しているので、そのプレイを直に見た人も少なくないかもしれません。そしてMarco Minnemannも凄腕のドラマーで、Terry Bozzio及びChad Wackermanとのトリプルドラムでのショウを経験しています。つまり、5人のメンバーのうち3人までがTerry Bozzioとの共演歴を持つということですね。そうなると、ボーカリストのレベルがこれら楽器演奏のマエストロたちに追いついているかという点が気になるわけですが……。

radiation (7:44)
この曲もYouTubeで紹介されているので、既に聴いている人は多いと思います。初めてこの曲を聴いたときは、UKZがこういう方向に行くとは思っていませんでしたので、大変驚きました。一言で言うと、ダークでハードな90年代Crimson路線。John WettonのポップでメロディアスなかつてのU.K.を期待したら、完全に裏切られます。しかし、曲の中間に出てくる駆け上がるようなシンセサイザー(映像ではSynclavierを使用しているのも驚き)からいったん曲調が落ち着き、穏やかなギターのアルペジオの上に強烈なテクニックのドラムソロがかぶってギターソロ〜ヴァイオリンソロへと続くわくわくするようなインスト部は、この曲の(というよりこのEPの)最大の聴かせどころとなっています。
houston (4:36)
打って変わっておとなしい曲。空間系のシンセサイザーの上にアコースティックギターのカッティング(実はドラマーがスティックで叩いている模様)とRobert Frippを連想させるロングトーンのギターが乗り、中間にはTrey GunnによるTouch Guitarの滑らかなソロも織り込みつつ、ナチュラルなボーカルが展開します。ドラムレスでふんわりと聴かせますが、聞き込んでくるとだんだん心にしみてきて、そうなるとHouston, we have a problem.で始まりSo it's over, over and out.で終わる歌詞の内容も気になってきます。
Tu-95 (7:17)
曲名は、ソ連の戦略爆撃機ツボレフ95のこと。妖しげなノイズから始まり、甲高いスネアに導かれるスピーディーな7拍子のもろCrimsonという感じの演奏でいくつかのモチーフが展開した後に、リズムがアルペジオのみになって不安をかきたてるようなヴァイオリンソロ、ついでリズムセクションが復活してシーケンシャルなシンセサイザーがかぶり、冒頭のノイズとCrimsonフレーズに回帰して、爆発音のような一音で終焉を迎えます。インストゥルメンタル曲。
legend (1:38)
エレクトリックギターでコードを爪弾く穏やかな、Alex Machacekのとても短いソロ。

最後の「legend」の位置づけがよくわからないものの、他の3曲はおそらく共通したコンセプトを持ち(1月24日のライブのオープニングは「Chernobyl」=チェルノブイリという曲名になっていますし)、かつ、それぞれに聴くポイントがあって、そういう意味ではこのEPはひとまず「買い」なのですが、いずれも90年代のKing Crimsonを連想させる音づくりであったことは正直予想外。Trey Gunnが曲づくりに大きな役割を果たしているということなのでしょうか?そして、Eddie Jobsonの楽器演奏における「妙技」がほとんど聴けないことも残念。強いて捜せば「Radiation」のSynclavierフレーズくらいでしょうか。また、あまりにもタイプの異なる2曲だけでボーカリストを評価するのはフェアではないでしょうが、いずれも一聴して引き込まれるような魅力を感じることはできませんでした。

UKZの結成がアナウンスされてから既に1年以上、その中でそれなりにマテリアルは揃っていなくてはならないはずですが、今回4曲の発表にとどまっていること、しかもEddie Jobsonの個性が十分には聴き取れないことは、今後の彼らの活動の継続に不安を感じさせます。

ただし、UKZのサイトにWe are working on possible future dates in other countries and will announce them right here when they are real.と記されていることが、辛うじて救いではあるのですが。