子犬

2014/03/13

久しぶりの東欧料理店シリーズ。ルーマニアハンガリーに続いて、今回は東欧というよりは中欧といった方が正しそうなチェコの料理店「だあしゑんか」にお邪魔しました。

「ダーシェンカ」というのは、チェコの作家カレル・チャペックが飼っていた子犬の名前だそうです。チェコで有名な人といえば、作家ならチャペック(「ロボット」という言葉の発明者)、音楽家ではスメタナやドヴォルザーク、また人形アニメーションが好きな私にとってはイジー・トルンカやイジー・バルタの名前も馴染みのあるところです。

小さなビルの狭い階段を登り、何やら異国情緒漂うドアを抜けると、そこには異世界が。

テーブルで6席+カウンター4席程度の店内には、所狭しと絵本が並んでいました。このお店は「チェコ料理・ビール・絵本」が売り物だそうです。

というわけで、まずはエーデルピルスで乾杯。ついでいただいたのは、不思議な味わいのカマンベールチーズのマリネ。チーズをスパイスとオイルで漬け込んだものです。

ホットワイン(スヴァジャーク)をいただいて、次に注文したのはベーコンと玉ねぎのブランボラーク。ブランボラークというのはチェコ料理では定番の、ジャガイモを主体とするパンケーキですが、玉ねぎの味わいもなかなかでした。

ビール煮込みのグラーシュは、玉ねぎを飴色になるまでじっくり炒め、生ビールとパプリカパウダー、キャラウェイシード、マジョラムをふんだんに使用して2時間以上じっくり煮込んだビーフシチューです。スパイシーな味わいが意外感あり。付け合わせのパンはもちもちとして甘味がありました。ここでもう一度ビールに戻って、ピルスナー・ウルケル。なにしろチェコはピルスナー発祥の地で、国民1人当たりビール消費量は世界屈指なのだそうです。

デザートはブルーベリーを埋め込んだケーキ=ブブラニナと、イチゴをパン生地で包んで茹でカッテージチーズとヨーグルトソースをかけたクネドリーキ。いずれもおいしうございました。

風雨をついて出勤してきたお姉さんによる素敵なアコーディオン演奏。「第三の男」とか「アメリのワルツ」とか。そんなこんなで、楽しいお店でした。また来よう。

実は、当初はポーランド料理店に行こうということになっていたのですが、東京で唯一茅場町にあるはずのその店にこの日の昼に電話してみたところ、イタリア料理店に変わっていました。ということは、東京からポーランド料理店は絶滅してしまったのでしょうか?