陽性

2月15日に3回目のワクチンを接種して「これでコロナ対策は盤石だ」と慢心していた私でしたが、しかしそうは問屋が卸さなかったという話。この体験が何かの参考になればと思い、発症時まで遡って日記風に記録します。

2022/02/22

日中はこれといった異変もなく普通に過ごしていたのですが、日が暮れるにつれて何やら寒気……というより悪寒がしてきました。咳も出ているので風邪を引いたかな?と思い、21時頃に就寝しました。

結局この日が「発症日」ということになりました。

2022/02/23

早く寝たので午前3時に目が覚めましたが、明らかに発熱しているので体温を測ると37.2度。夜が明けてから2時間おきに測り続けてもずっと37度超をキープしています。これは困ったなぁとは思いましたが、咳も時折出るもののたいしたことはないので、このときは本当にコロナだとは思っていません。とはいうものの万一のことを考えてかかりつけ医のWebサイトを見てみましたが、あいにくこの日(祝)とその翌日(木)は休診日でした。

当初この日は実家に顔を出して家族会議をすることになっていたのですが、コロナにせよインフルエンザにせよここは母に伝染させるリスクを回避する必要があるだろうと考えて訪問中止。実家を訪れた弟にFaceTimeをつないでもらってオンライン会議に切り替え、所期の目的を果たすことができました。

食事の方は宅配ピザがあるので困らない(配達員さんすみません)のですが、それよりも助かったのはワクチン接種時に籠城準備として買い込んであったアイスクリーム類でした(ピザ屋さんすみません)。特に「雪見だいふく」は超絶うまい。クセになってしまいそうで心配になりました。

2022/02/24

発症3日目。前夜も早く寝たので午前2時に目覚め、ここで体温を測ったところ38.0度。これはさすがにまずかろうと思い、明るくなってから東京都発熱相談センターに電話を入れました。「混み合っている」という自動音声が流れましたがそのまま待っていると1分もたたずにつながったので、担当の女性にかかりつけ医が休診日であることと症状とを告げると、濃厚接触はあったか、ワクチンは接種したかといった簡単な質問を受けた後に私の自宅から徒歩圏内の(つまり公共交通機関を使わずに行ける)医院を3カ所紹介してくれて、いずれかに電話して検査を受けるようにと指示してくれました。センターのお姉さん、親切に教えてくれてありがとうございました。

この助言に従ってひとつの医院に電話をかけるとすぐにつながり、その日の午前中にPCR検査を受けられることになりました。他の患者との接触を避けるために指定された時刻通りに医院のインターホンを鳴らし、通常の出入り口とは違う入り口の玄関に設けられた検査場所で受検です。検査自体は簡単、綿棒のようなものを口に30秒くわえているだけで、その他もろもろ含めてもものの数分で終わりました。

医院からの帰りに食材を買い込んでおいて午後は書斎でテレワークですが、体温は37度前後まで下がってきたのでずいぶん楽になった感じですし、咳もほぼ治りました。やっぱりコロナじゃなかったんじゃない?とこのときは楽観視していたのですが。

2022/02/25

発症4日目の朝、起床して検温すると体温は36度台まで下がっていましたが、咽喉が腫れてかなり痛い。発熱よりもこっちの方がつらいぞ、と思いながら薬用ルルトローチをAmazonで速攻ポチリ。その後も3時間おきに体温を測り続けましたが、いつまでも36度を割り込まない微熱状態(自分の平熱は35.6度くらい)が続いていて少々不安になってきた夕方に、昨日の医院からの電話が入りました。

結果は「BA.2型 陽性」です。

必要であれば重症化防止の薬や隔離施設の手配もできると言われましたが、症状は落ち着いているし同居の家族もいないのでこれらはNO THANK YOU。容体が悪化したらいつでも連絡を下さいと言っていただいたところで医院との電話を切りました。

オミクロン株は感染してから発症までが1週間以内だそうですから、感染機会として考えられるのは先週金曜日(2/18)の出社の際か、その翌日(2/19)の御岳渓谷か、ぎりぎりそのまた翌日(2/20)のスポーツジムでしょうか。ステルスオミクロンと異名をとる「BA.2型」の感染力侮りがたし……などと感心している場合ではありません。保健所からの指示はまだありませんが、いずれにしても発症から10日間が過ぎるまでは自宅療養が必要になるはずです。

そうなると差し迫った問題はその間の食事をどうするかですが、そうしたニーズにはちゃんと答が用意されているもので、WEB申込みすると遅くとも翌々日には1週間分の食糧とパルスオキシメーターを届けてくれる「自宅療養サポートセンター(うちさぽ東京)」というのがありました。

これが届くまでの足掛け3日間分の食材は心ききたる知人に頼んで調達してもらい、これで今年2度目の籠城態勢が整ったことになります。よしよし。

いや、自分のことばかり考えていないで自分が感染させてしまったかもしれない人のことも考えなくては。そこで、発症した日に通院した歯医者さんと夕食をとった行きつけのカレー屋さんに上記の旨を報告。するとカレー屋の店主さんからは、その後特に体調に異変はないこと、感染防止対策は万全なので大丈夫と思うが近日中にPCR検査を受けに行くこと、そして回復したらまた来店を、と言っていただきました。迷惑をかけたのにこの暖かい言葉……人の情けが心にしみます。

2022/02/26

発症5日目。この日は土曜日ですが、特にすることもなく窓から空を見上げれば羨ましいほどの青空。今頃は皆、大喜びで雪山や氷瀑や岩壁に繰り出しているんだろうなぁ。

指をくわえて空を見上げていても仕方がないので、先延ばしにしていたオンライン確定申告に取り組みました。e-taxの案内サイトのイケてなさにはほとほと呆れますが、実際に申告手続に入ってみるとそれなりに一直線に手続が進むようになっていて、1時間ほどで作業完了です。その結果2万7千円ほどの還付金が見込まれるので、自宅療養期間が明けたらこれで豪勢な食事をしに行こう。

この日の昼には、体温は35度台まで下がりました。

夕方近くにまず厚生労働省からショートメッセージが入り、接触確認アプリ(COCOA)への陽性情報の登録を促されました。実は今月初めにこのアプリから「陽性者との接触あり」との通知がなされていたのですが、そのときは発症なし。今回はそうした通知なくいきなりの発症です。感染したからといって発症するとは限らず、発症しなければ自分が感染しているとは気づかないので当然COCOAにも登録しません。こうした手段も実効性には限界があるものだなと思いつつ、それでも素直にメッセージのリンク(その中に登録に必要な8桁のPINが含まれています)をタップして陽性情報の登録(匿名)を行いました。

さらに21時過ぎに保健所からショートメッセージでの連絡あり(下のスクショはMacの画面で見たものです)。

リンク先(日本語と英語)の情報に新味はなく、「うちさぽ東京」や東京都宿泊療養申込窓口の紹介程度(加えて「緊急の場合は119番してください」の一文アリ)ですが、この時刻まで対応してくれているということに頭が下がりますし、こういう状態のときはどんな内容であれ自分あてに連絡が入ってくるということが気持ちを軽くしてくれるものです。

2022/02/27

発症6日目。朝一番で体温を測ったら35.0度。爬虫類じゃないんだから、もうこれ以上下がらなくていいぞ。ここ3日ほど起き抜けがつらかった喉の痛みも軽快し、体調はほぼ万全。しかしこういうときに限って窓の外には雲ひとつない青空が広がっています。この週末は雪を求めて1泊2日で奥多摩を歩く計画だったのに。しかし短期的な問題もさることながら、まん延防止措置期間延長論が出てきていることも気になります。報道されているところによると、3月6日までの現行期間が3月いっぱいまで延ばされる可能性ありとのこと。それは勘弁してほしいなぁ……。

10時過ぎに配送の方から電話があり、「うちさぽ東京」からの荷物が置き配で届きました。いやはや、この物量たるや。

段ボール箱の中は、一見すると手当たり次第にざっくり放り込んだ感じ。それでも開梱して整理してみると一定のポリシーに即してセレクトされているらしいことがわかってきます。ただ、たいていのものは二つ以上ずつ入っているのにSOYJOYが1本だけ孤立しているのは謎です。

海藻サラダやわかめ味噌汁がやたらとあるのですが、海藻成分はコロナ療養に効果があるのかな?また、大昔に山登りの友といえば「これ」だったカロリーメイトとの対面は相当久しぶりです。まだ達者にしていたのか。

緑のたぬきは賞味期限まで半年あるけれど、それまでとっておいても場所をとるので早めに食べることにします。赤いきつねももちろん同数あり。そしてパルスオキシメーターを使うのはエベレスト街道以来ですが、これは要返却なので梱包材含め大事にとっておかなければなりません。

これらを一所懸命整理している最中に目黒区役所の保健予防課感染症対策係から電話が入り、発症からの症状の推移についての質問や今後の過ごし方についての指示など30分ほど会話しました。パーソナルデータ確認を含め質問数が膨大で時間がかかるために少々忍耐を求められるやりとりでしたが、こればかりは仕方ありません。区役所の方も、本当にご苦労さまです。

2022/02/28

発症7日目。9時からのテレワークの最中に、東京都新型コロナウイルス感染症自宅療養者フォローアップセンターというとても長い名前の機関からショートメッセージあり。

「お友達登録をお願い致します」と書かれたリンクをタップしてLINEでアクセスすると「新型コロナ療養者支援@東京」というアカウントとつながり、最初にパーソナルデータの登録があって、引き続き既往症や身長体重の確認後に現在の状況に関する問診が10数問。ほとんどの質問が「はい」か「いいえ」で答えられるものなのでたいして時間はかかりません。

起きているのはつらくないが起き出すのは毎朝つらいぞ、とか、ぼんやりしているのは今に始まった話ではないぞ、とかいろいろツッコミどころはありましたが、つつがなく入力終了。今後は1日2回(10時半と16時半)、こうしてLINEでの質問があり状態を報告することになります。

この仕組みのいいところは、自分から能動的にアクセスして情報登録するのではなく、向こうからプッシュ型で報告を促してくれる点にあります。これは便利なものだな、LINEのAPIはよほどこうした仕組みに適合しているのだな、と感心する反面、私の親の世代ではスマホの画面の正しい位置に正しい強さでタップすることすら難しい場合があるので、こういう面でもデジタル・ディバイドはますます広がるばかりだなとも思ったのでした。「親の世代」というのは遠くない将来の自分の姿でもあるので、これは決して他人ごとではありません。

また、私はふだんの友人たちとの連絡にはLINEよりもFacebookのMessengerアプリを活用することの方が多いのですが、こと公的連絡手段としてはLINE一択であることに考え込まされました。目黒区からの公報の受信(主たる目的はワクチン接種案内)やTOKYOワクション(ワクチン接種証明)、それにこのフォローアップセンターとのやりとりはLINEなしではその利便性を享受できません。かつて個人情報管理の海外委託にまつわる問題を起こした過去を乗り越えてLINEが公的社会インフラの地位をがっちりキープしているところに、したたかさのようなものを感じました。

ところが、のんびりコーヒーを飲みながら仕事をしていた16時前に今度はフォローアップセンターの看護師さんから携帯電話に連絡あり。ここでもいろいろ質問を受けましたが、内容は目黒区役所の保健予防課感染症対策係の方に昨日伝えたり今日LINEでフォローアップセンターに回答したことの繰り返し。話をしてみるとLINEで登録した情報はまだ見ていない状態での連絡だったそうです。せっかくの便利な仕組みも、情報を貯めただけで活用しないのでは意味がないのではないかな?と内心ぶつぶつ。

夜はこの日公開されたばかりのこちらの音源を鑑賞。King Crimsonのライブアルバム『USA』に収録された1974年のAsbury Parkでの即興演奏のリズムセクションを特に強調したもので、Bill Bruford(Ds)とJohn Wetton(B)のチームの野獣ぶりが如実にわかります。これを何度も聴いて、自分に喝を入れ直しました。

2022/03/01

発症8日目、とうとう3月に突入。うっすらと雲の広がりも見えますがやはり青空で、気温も確実に上がり春の訪れを実感させます。結局この冬はアルパインもアイスもほとんどできなかったなぁ……と残念に思いますが、致し方ありません。

普通に午前中のテレワークをこなして昼食をとっていた正午過ぎ、またまたフォローアップセンターの看護師さんから問診の電話あり。てきぱきと質問をし始めたので「LINEでも報告していますよ」と告げると、電話問診対象だと登録されていたので電話したがLINE報告がされているのならこれは不要ですという返事でした。やはり情報連携に難があるという制度上の弱点を露呈したかたちですが、私のパターンはまだしも、逆に本当は電話問診が必要(LINEが使えない)なのに不要であると登録されていて自分の状態をフォローしてもらえていない人もいる可能性があるわけで、これは危ないなと感じました。

21時前にまたしてもフォローアップセンターの看護師さんから問診の電話あり。おやおやと思っていると看護師さん側が問診後に登録内容を確認してくれて、私の生年月日が誤って登録されていたことがわかりました。あれれ、もしや私がどこかでミスしたのかな?このことが情報連携に支障をきたしている原因なのだとしたら「情報連携に難あり」など書いていたことが難癖になってしまいますが、それはともかく看護師さん曰く「LINEからいったん友達削除をし、あらためて送られるSMSに基づいてフォローアップセンターと繋がり直してほしい」とのこと。はい、承知しましたと電話をきってLINEを操作し終えたらほとんど間髪入れずに再度メッセージあり。ここからは昨日行ったことの繰り返しです。

明日からはうまくいくかな?

2022/03/02

発症9日目。今日は朝方は晴れていましたが、昼前にはどんより曇り空。善哉。

それはさておき、午前9時に計測した値を見ると体温は35度台ですがSpO2の値が95%と(平地にしては)妙に低い。当たり前ですが正直に申告しなければならないのでそのままLINE登録したところ、昼前になって看護師さんから「大丈夫ですか?」という確認の電話が入りました。しかし、電話が繋がった状態で再計測したところ97%に上がっていたのでとりあえずOK。ご心配ありがとうございます。

2022/03/03

今日は桃の節句。世間一般のお内裏様とお雛様もマスク着用なのだろうか?私のきょうだいに女子はいなかったので実家には雛飾りはない代わりに、端午の節句に鎧飾りを出していましたが、あちらはいかつい面頬を着けているから大丈夫かな。

イメージ。

いや、これだと口が開いているからダメか。それに神武天皇や坂田金時は素顔だからやはりマスクを着用させる必要がありそうだな。しかし、できることなら端午の節句の頃=ゴールデンウイークにはコロナはすっかり収まってマスクの必要もない状態になっていてほしいものです。

今日も午前と午後にLINEでの問診がありましたが、午後のLINE着信時(16時半)は会議中だったのでほったらかしにしていたら、30分後に「早く回答せよ」と督促されてしまいました。はいはい、申し訳ありません。

さて、私が発症したのは上記の通り2月22日だったので、その日から指折り数えると今日が10日目に当たります。ということは自宅療養も今日までで、明日からは晴れて自由の身に?

実は、そういうわけにはいきません。

このように「発症日から10日間が経過」 のカウントに際しては発症日の翌日を起算日とすることになっており、このため私の自宅療養期間は3月4日までということになるわけです。このことは目黒区役所の方から電話をいただいたときにはっきり告げられていたので仕方ないのですが、そのために3月4日にセルリアンタワー能楽堂で上演される「渋谷能」の千秋楽を観に行けなくなったのはあまりにも残念。

千秋楽はシテ方五流儀が勢揃いします。今公演は「源氏物語」をテーマにした曲の競演です。金春流と金剛流、観世流は舞囃子、今年演能のあった宝生流と喜多流は同じ曲で仕舞の観くらべとなります。また、去年の千秋楽に続き、今年も狂言を上演。今年は和泉流三宅家の右矩、近成の兄弟が野村万蔵の胸を借りて「止動方角」を上演します。

……という番組でとても楽しみにしていたのですが。

2022/03/04

今日が自宅療養の最終日とあって、10時前にフォローアップセンターの看護師さんから電話あり。体温・血中酸素濃度と、3月1日以降の3日間の発熱や解熱剤服用の有無の確認の後、

  • この日のLINEによる問診は16時半の分だけ答えればOKです。
  • 夕方にショートメッセージで最終連絡が入るので必ず読むように。
  • この日の23時59分を過ぎたら普段通りの生活に戻れます。LINEアカウント「新型コロナ療養者支援@東京」も友達解除して下さい。
  • 後日パルスオキシメーターの返却のために業者さんから連絡があるので、対応よろしくお願いします。

という指示を受けました。このうち「夕方」に来ると思っていたショートメッセージの到着は22時過ぎでしたが、ともあれこれで自宅療養は終了です。この間の一連の公的支援には心から感謝です。ありがとうございました。ここ数日お世話になっていたLINEの健康観察アカウントをブロック・削除するのも一抹の寂しさを覚えますが、指示に従うこととします。

長かったような短かったような行動制限から解き放たれて、明日からは晴れて自由の身。まずは心置きなく身体を動かしたいし、豪勢でなくてもいいから新鮮な野菜や魚介類を食べに行きたいものです。「うちさぽ東京」から送られた食料品はとても助かったのですが、そうは言ってもレトルトとフリーズドライ中心だったので。それにあのカレー屋さんにもお礼かたがた顔を出さなくては。

ところで、振り返ってみると発熱を確認した直後に解熱剤を使わなかったのがひとつの分岐点だったように思います。ここで薬の力で熱を下げてしまっていたらPCR検査を受けるタイミングを逸し、その結果として自分が周囲の人にウイルスを伝染させることになっていたかも知れませんから。そもそも、これまで私が頑ななまでに都県境またぎ自粛要請を遵守していたのも、都内の人口密集地に住み公共交通機関を使わなければ遠隔地に赴くことができない自分がいつの間にか感染者になっていて他地域にウイルスをばらまいてしまう(つまり「加害者」になる)リスクを考慮してのことでしたが、実際に限られた行動半径の中でありながら感染を避けられなかったことによって、この懸念が正しかったことが図らずも証明されたわけです。

また、解熱剤を使わなかったのは発熱が38.0度にとどまっていたからですが、この程度の発熱ですんだのは3回目のワクチン接種の効果だったのかも知れません。このあたりはあまりにもタイミングが微妙すぎて判然としないところですが、確実に言えることは、新型コロナウイルスに感染して陽性となればたとえ症状が軽度だったとしても生活に与える影響は大きく、したがってこれを回避するために各自ができること(マスク着用、手洗い、うがいの励行、不要不急の移動の抑制)はワクチン接種の有無に関わらず決しておろそかにするべきではないということです。

なお、発症6日目の2月27日以降は体温も平熱に戻り、喉の痛みも咳もなく健康を取り戻していたのですが、陽性連絡を受けた2月25日の夕方以降、自宅から1歩も外に出ずに閉鎖された空間の中で過ごし続けるのは少々気が滅入る体験でした。それでも私の自宅は居間・書斎・寝室とあって楽器やら本やら(ついでに仕事やら)気分転換の材料には事欠きませんでしたからまだしもでしたが、これが若い頃に住んでいた狭いワンルームだったら精神的につらかっただろうと想像します。ただし私の若い頃にはSNSはおろかインターネットもなく、外界との接点は固定電話とテレビくらいだったのに対し、今は家族・友人との連絡手段も自分の発信手段も多様ですから、隔離に伴う孤立感はかなり軽減されているはず。上述の問診LINEにも精神安定効果があったように感じました。ITが人の心を支えるということはあるものです。

そうそう、こうして自分の「陽性日記」をブログに記録してゆく作業も無聊を慰める上でとても有効な手段だったことを、最後に付け加えておきます。