改訂

2024/02/24

少しディープな丹沢愛好家が参照することが多い『東丹沢登山詳細図』は、2012年に初版が発行された後に2015年、2018年と改訂が施されていましたが、最近までの最新版である『新版』をアップデートした『新版改訂 東丹沢登山詳細図』が今回リリースされました。

これを予約注文の段階からAmazonでポチっていたところ、発行日である「2024年3月1日」よりも早くこの日手元に届いたのでさっそくチェック。もちろん改訂ポイントをすべて確認することはできないので、1年ほど前にこのブログで問題提起を行った「茅ノ木棚沢ノ頭」周辺を見てみたのですが、はっきりと改訂の手が加えられていることがわかりました。

具体的には、前の版では山稜上のP1108(下の写真の中央)を「ノ木棚沢ノ頭」としてかっこ書で「沖ブドーノ頭」と付記していたのに対し、今回の版では表記を改めて「沖太尾ノ頭」のみとした上で、道標のところの誤字「芽」を「茅」に訂正しています。ただ、上述の問題提起での考察を踏まえるとこのP1108が本来の茅ノ木棚沢ノ頭である可能性が高いと思っているので、この表記変更はうーんという感じ。もっとも『東丹沢登山詳細図』が認識している「カヤノキダナ沢」の位置との関係では、整合性がとれるようになったといえるかもしれません。

▲『新版』(2018年)
▲『新版改訂』(2024年)

寄から雨山峠に向かう登山道の途中に「鉄階段」や「空中道標」といった注記が加筆されているのも注目ですが、驚くのは従来「寄コシバ沢」とされていた鍋割峠へ向かう沢の名前が「鍋割沢(寄越場沢)」と改められている点です。もともとこの沢は鍋割峠を越えた先の「鍋割」(玄倉川上流の鍋割沢流域の平坦地)に向かうための越場の沢という意味で「鍋割越場沢」または「乗越沢」と呼ばれていた沢であり、現地の標識での表記も単に「コシバ沢」ですが、この沢を「鍋割沢」と呼ぶことにした由緒のようなものはあるのかな?

……と思いきや、上述の問題提起の中に掲載した「カヤノキダナ附近図」はこの沢を「鍋割沢」と表記していました。このあたりの地域の地名問題は、本当に複雑で難解です。

最後に、こまかい話ですが臼ヶ岳からユーシンへ下る朝日向尾根上のピーク「小虎枚ノ頭」が「小虎杖ノ頭」へと正しい表記(読みは「コイタドリ」)になっていたのは歓迎です。他にも様々な改良が加えられているだろうと思いますが、とりあえず今回はこのへんで。