塾長の備忘録

塾長の備忘録

私=juqchoの日常の雑感を不定期に綴る、個人的な備忘録。

謝恩

2023/02/25

1972年に設立された麻布学園チェス部は昨年設立50周年を迎えました。そしてこの日、田町のイベント会場に70名以上の参加者を得て設立50周年記念イベント「謝恩会」を開催することができました。

この大きな節目に際して何らかの記念イベントを開催しようという話は既に40周年記念イベントのときからあったのですが、その後の各種の混迷、とりわけ新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴いこの話はなかなか始動されることがなく、Facebookのチェス部OBグループ上での議論を経てやっと私を含む幹事団が結成されたのが2022年6月。その後、記念イベントを「記念誌発行」「現役・OBの交流会」「顧問の先生方への謝恩会」の三本柱として企画を進めたものの、残念ながら長引くコロナ禍のために「交流会」の開催は早い段階で断念せざるを得なくなり、ようやく「記念誌」を発刊できたのが2日前の2023年2月23日。そしてこの日の「謝恩会」で一連の行事は終了です。

しかし、この1年間の遅れは返す返すも痛恨事で、この間の2022年8月25日にチェス部初代顧問であられた近藤祐康先生が鬼籍に入られ、同年11月10日には麻布学園OBで日本のチェス界のレジェンドと言われた権田源太郎氏も亡くなられました。お二方とも草創期のチェス部を支えて下さった恩人であり、この50周年記念イベントがそのことへのご恩返しともなればと思っていただけに、これら二つの訃報は我々幹事団にとって大きな衝撃でした。ここにあらためて近藤先生と権田さん(と呼ばせていただきます)のご冥福をお祈りする次第です。

「謝恩会」は2代目顧問の加藤先生と4代目顧問の平野先生、そして現顧問の重田先生をお招きし、OB代表からの謝辞や記念品の贈呈、先生方のお話とチェス部出身のトッププレイヤーの講演など盛りだくさんな内容で、いち参加者として見ても充実したパーティーとなりました。なにしろ半世紀も活動していれば数多くのOB・現役を海外に派遣し、あるいは全日本チャンピオンを輩出するといった具合に人材には事欠かず、日本に2人しかいないFIDEのIM(インターナショナルマスター)もどちらも出席しているという豪華さですが、その合間には「波動砲定跡」や「とりあえずよけとくか事件」といったお笑い系のエピソードも紹介され、プロブレム優秀回答者への賞品授与もあって、なごやかな雰囲気にうちに大団円を迎えました。

幹事団が結成されてから9カ月に及ぶプロジェクトが無事にゴールに辿り着けたのは、最古参である私(1978年卒=部結成時メンバー)からまだ学生である若手(2021年卒)まで幅広い年代のメンバーが対等の立場で意見を交わし、ゴールイメージを共有し、役割を分担して弛むことなく取り組んできたことの成果です。特に若手2人(2016年卒・2021年卒)が我々年寄り幹事(1978年卒・1979年卒・1983年卒)の蛇行運転にしっかりついてきてくれたことに、心から感謝したいと思います。

この間、幹事団の企画会議は合計10回に及びましたが、いずれもオンライン会議で実施され、途中で麻布学園訪問や謝恩会場下見の折に何人かが顔を合わせることはあったものの、全員が一堂に会したのは実は謝恩会当日が初めて。メッセンジャーとオンラインストレージをフル活用したこのやり方も時代を反映していますが、こうした道具立てがあってこそのスピーディーな運営だったと言えそうです。ただし速度一辺倒ではなく、すべての会議について議事録とそのときどきの検討資料を残してあり、この9カ月間の幹事団の軌跡はたとえ10年後でも振り返ることができるようになっています。

コロナで人が集まることが難しくなる一方オンラインでチェスを指すことができるこの時代に、部活動としてチェスを行うことの意義は揺らいできていますが、それでもこうして二次会の席にまでチェスの盤と駒を持ち込む姿を見ると、チェスというのはやはり人と人とが顔を突き合わせて行うところに醍醐味があるのだと思えてきますし、少なくともこの日この場所に集まったOBの皆さんがチェス部を50年間支えてきて下さった先生方に対して示した感謝の気持ちだけは一心同体だっただろうと思います。幹事団の方はまだ記念誌の不備の補正(第二版発行)や謝恩会の会計報告などの残務が残ってはいますが、私としてもとりあえず肩の荷を下ろした気分です。

ところで、この日の謝恩会は私が中学・高校のときに所属していたチェス部にまつわるものでしたが、このイベントの幹事を共に務めこの日の司会もしてくれた高田くん(2016年卒)は、なんと私が大学時代に所属していた洋弓部の1年後輩の高田さんのご子息だったということが謝恩会終了後に判明してびっくり仰天。あまりにも縁が重なり過ぎていて、なんだか怖いくらいです。